多様化への対応で大騒動! トランス女性のVIP入会でスポーツジムが求められた「変革」と「崩壊」



風評被害が最大の痛手

これでは露出狂と変わらない。

結局、Aさんの入会が原因で10名近い女性会員がジムを去っている。

「会員さんだけでなく、スタッフも何人か辞めました。Aさんはトレーニング中もトレーナーの女性に股間を押し付けたり、トレーナーの身体に触れるなどの行為を繰り返していたんです。いくら注意しても『女同士なのに水臭いじゃない~』と反省する様子がないし、男性のトレーナーをつけようとすると『男の人に面倒を見てもらうのは恥ずかしいからイヤだわ』と言って拒否するんです」

ちなみに、VIP会員であるAさんが払い込む会費は一般会員の10倍に当たるうえ、Aさんはジムで販売しているサプリメントやプロテイン、ドリンクなどを大量に購入するため、ジム側に採算的な痛手はそれほどなかったというが、最大の迷惑は風評被害だった。

「女性会員の新規入会がゼロになり、その反面、Aさんの存在を面白がる男性会員の入会が増えてジムの治安が悪くなったんです。これではジム自体がつぶれるのも時間の問題だと思いました」

さすがに危機感を抱いたオーナーは「ジムの経営から手を引くことになった」フリをし「オーナーの交代により、経営方針が変わった」という名目でAさんを追い出したという。

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。