なぜ今!? 若い女性の間に人格が豹変する「PMS(月経前症候群)」がまん延の兆し



わめいたり、手当たり次第にモノを放り投げたり…

同じく主婦である野口雅美さん(仮名・45歳)は、高校生の娘さんのPMSに悩んでいるという。

「娘はPMSが始まると終始不機嫌で反抗的になります。わけのわからないことを大声でわめいたり、食卓をひっくり返したり、手当たり次第にモノを放り投げたりするのは日常茶飯事。ペットを虐待したり窓ガラスを割ったこともあります。普段はどちらかと言うとおとなしい子なので、その変貌ぶりは何かが取り憑いたとしか思えないレベルです。ご近所では家庭内暴力をしていると勘違いされているようですが、まさか『生理前なもので…』と言って回るわけにもいかず…。症状を改善するというホルモン剤を飲ませたこともあるのですが、副作用を感じてからは断固として受け付けなくなりました。毎月途方に暮れています」

また、中学生の娘さんのPMSに悩んでいるのは田中みゆきさん(仮名・39歳)だ。

「娘は中2です。早熟なのか小学4年生の時に初潮を迎えたのですが、6年生の終わり頃にPMSを発症しました。とにかく情緒不安定で、理由もなく泣いたり怒ったりします。口をきかなかったり、周りに八つ当たりをすることもあって、友達が離れて行ったり、いじめに遭ったりしています。それが原因なのか度々自殺願望も口にします。学業にも差し支えるので学校の先生からは受診も勧められましたが、中学生にとって産婦人科は抵抗があるようで絶対に病院に行こうとはしません」

単なる不調では片づけられないPMSがここ数年で急増している背景には、ファストフード中心のバランスの悪い食生活や夜更かしなど不規則な生活、ストレスなどがあると言われている。

低用量ピルや漢方薬の服用で改善されることもあるそうだが、当事者の苦悩は想像以上のようだ。

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。