「昔みたいにスルメが食べたい」常連客の要望から生まれた“やわりめ”がオススメ 北区・王子『宝泉』【男がほれる酒と肴「ホの字酒場」第1回】

店内はコの字とロの字のカウンター2つだけと機能的
酒飲みがぞっこんになる名店を紹介する本連載。記念すべき第1回は老舗『宝泉』から。創業は昭和52年というから、カウンターに立つ若大将は2代目だろうか。

奥にいる“看板娘”のおかみは「年齢は秘密」と笑いながら、ロの字カウンターで常連たちのオーダーを見事にさばいている。その手際のいいこと。
店に入って左手のカウンターがおかみの定位置
みんなが次々に頼むのは、都内でも珍しい生ホッピー。一口飲んで人気の理由が分かった。とにかく中身の焼酎が濃いのだ。

「だから一人3杯まで」

そうおかみに言われたものの、1杯で満足だし、3杯飲んだら真っすぐ歩ける自信もない。しばらくすると「やわりめ」がやってきた。
スルメを調味液に一晩漬けて軟らかくしてからあぶったもの。酒にピッタリ。「やわりめ」490円
「昔みたいにスルメが食べたい」

歯が悪くなり硬い物が噛めないと嘆く常連がいた。だったら軟らかくしてしまえと、調味液に漬けたスルメを焼いて提供したのが始まり。すぐに大好評となり「これは商売になると思ったね」とおかみはニヤリ。

開店直後に集合した常連たちも、19時が近づけばおかみに手を振ってサッと帰っていく。その姿たるや、いやぁかっこいい。

きっと彼らは明日もここに集まり、濃い酒に身を委ねるのだろう。

「生ホッピー」580円、「ハムフライ」390円、「ポテトサラダ」330円
撮影・文/キンマサタカ

「週刊実話」7月11日号より

宝泉

『宝泉』

東京都北区王子1-19-10 1F

03-3914-2726

営業時間17時~23時(土曜は22時まで)

休み:日、祝