転職を機に手当たり次第に女あさり “不倫沼”にハマったイケオジの逆転人生



「人生の後半にこんな特典があるとは…」

そんな環境に影響を受けた野上さんはジムで筋トレをし、エステで脱毛。都心の美容室に通い、パーソナルスタイリストを雇うなどして40歳を過ぎる頃には「イケオジ」に仰天チェンジを果たす。

経済的に余裕があり、ビジュアルもイケてるとなれば当然周りの女性が放っておかないだろう。

「おっしゃる通りです(笑)。最初の不倫相手は仕事でサポートをしてくれた部下でした。まさか20代の女性に相手にされるとは思っていなかったので当初はどうしていいか分からなかったんですが、彼女たちから見れば40代というだけで同世代よりはずっと頼もしく思えるみたいですね。今時の淡泊な若者と違ってギラギラしてますからアッチも濃厚ですしね(笑)」

女性は妻しか知らなかったという野上さんだが「女性経験が少ないと未熟だと思われがちですけど、逆みたいですね。長年同じ相手とセックスしてると、マンネリ防止のためにいろいろ工夫するじゃないですか? それが功を奏した感じです」

「妻以外の女体」の味を覚えてしまった野上さんは、手当たり次第に不倫を繰り返すようになる。

「脈がありそうな子を見つけると片っ端から口説きました。焦らしたり焦らされたりっていう駆け引きが楽しいんですよ。ばっちりヘアメークした女性の勝負下着を脱がせる瞬間の非日常感といい、征服感といいたまらないですよ。モテるようになると自分に自信が生まれるじゃないですか? その余裕みたいなものも女性にとっては魅力的に映るみたいです。いやあ、まさか人生の後半にこんな特典があるとは思ってもみなかったですね。転職前の自分に『人生諦めるのは早いぞ!』と教えてあげたいです」

野上さんは完全に舞い上がっていたが、実は何度も奥さんに不倫がバレている。

「付き合いが長いせいか、妻は僕の尻尾を掴むのが上手いんですよ。これまでに5人以上バレてますね。最初は『糟糠の妻を蔑ろにするなんて!』と怒り狂っていましたが、最近は僕のことは『ATM』だと割り切っているみたいで、もっぱら子供たちの教育に情熱を注いでいます。たぶん、子供たちも僕のことは妻と同じように思っているんじゃないかな(苦笑)」

そんな野上さんの長女は、今年有名私大の医学部に入学。長男は東京大学、次女は京都大学を目指して勉学に励んでいるという。

果たして、子供たちに見せる「オヤジの背中」が今のままでいいのかは気になるところだ。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。