藤ヶ谷太輔と奈緒が「ミステリアスで可愛くてたまらなかった」映画『傲慢と善良』を絶賛【LiLiCoおススメ肉食シネマ 第296回】

(C)2024 映画「傲慢と善良」製作委員会
お仕事お疲れさまです。

今回の作品があまりにも気に入ってしまい、主演の藤ヶ谷太輔さんと奈緒さんにインタビューをさせていただく日も、始まる40分前からスタッフと作品について大盛り上がり。音声スタッフさんも「すごく見たくなった」と言ってくれ、さらに盛り上がりました。

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恋愛は永遠のテーマ。正解がない。自由だからこそ難しい。傷つきたくないし、自分の弱さも認めたくない。人を好きになってしまったときって、意外と自分のことが嫌いになったりもします。私みたいに(?)さっぱりスッキリ、ドライに恋愛ができる人間は、なかなかいません。

でも、それはこの映画の中で描かれている段階を踏んでいるからこそ、そこから学び、いつか落ち着いてくるのです。

私からしてみると“ザ・日本の恋愛”です。多くの人は本作のように迷いながら恋愛の道を進んでいくことを知っているから、原作となった辻村深月さんの小説のコメント欄には“共感”の言葉が並ぶ。でも私、映画は共感でなくても良いと思ってます。こういうふうに考える人もいるよね〜と、そっと抱きしめてあげたくなったり、自分の視野も広がります。

幸せになる方法を教えてあげたい

藤ヶ谷さん演じる架は自分を素敵に見せたい。そして、奈緒さん演じる真実の不器用さがまさに若者の恋愛そのもの。“もっと早く幸せになる方法を教えてあげたい”と何度も思いながらこの2人を見つめていました。

ミステリアスで可愛くてたまらなかった。そして、架の同僚たちの陰口にも聞こえる言葉は、彼が好きだからこそのもの。うまく恋愛ができない自分たちの中に、いつも嫉妬を感じているかもしれません。

そもそも、藤ヶ谷さんが辻村深月さんの小説が大好きだったことはお話ししてみて良く伝わりました。監督は、この連載でも紹介した『ブルーピリオド』の萩原健太郎さん。藤ヶ谷さんと奈緒さんの他に倉悠貴さん、桜庭ななみさん、宮崎美子さん、前田美波里さんと、個性豊かな人ばかりで、どの役の心情もしっかりと伝わり、“こんな人いる”と腑に落ちます。

今年、見終わってから、最も盛り上がれる作品。エンドロール後もあなたの中に生き続け、恋愛をマスターしたあなたの過去を、くすぐってくれます。

あ〜あ、2人のインタビュー時間を倍、いや3倍欲しかった! 恋愛って本当に難しいけど素敵。そんなことを思いながら、帰ったら夫にハグしました。  

傲慢と善良 
監督:萩原健太郎 
出演:藤ヶ谷太輔、奈緒、倉悠貴、桜庭ななみ、阿南健治、菊池亜希子、宮崎美子、西田尚美、前田美波里 
配給:アスミック・エース 9月27日(金)全国公開

30代の架(藤ヶ谷太輔)は、長年付き合っていた彼女にフラれたことをきっかけにマッチングアプリで婚活を始め、真実(奈緒)という女性と出会う。しかし、真実と1年間交際しても結婚に踏み切れずにいた架だったが、真実からストーカーの存在を告白された直後、恐怖におびえた声で助けを求める着信を受ける。真実を守らなければならないと婚約するが、彼女は突然姿を消した。行方を追うために彼女の両親や友人、過去の恋人などのもとを訪ねるうちに、真実の驚くべき過去と嘘を知る。

「週刊実話」10月10日号より

LiLiCo(リリコ)

映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。