蝶野正洋が自民党総裁選を語る「ロイヤルランブルみたいなもの」「本当の戦いはその先にある」

蝶野正洋 (C)週刊実話Web
自民党総裁選に9人が立候補し、激戦となっている。

9月27日の投開票を前に候補者たちが全国各地を巡りながら演説会を行っていたけど、これは実質的に自民党の顔見せ興行みたいなものだよね。

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誰が次の総裁になるかは置いといて、これからの自民党で力を持っていくのはこの人たちです、ということをアピールする場になっている。候補者の中には、今は本気で総裁になるつもりがない人もいるだろうし、とりあえず立候補して名前を売っておこうという魂胆なのかもしれない。

今の日本は経済が不安定で、外交問題も難しい局面を迎えている。それに自民党内でも政治資金問題、旧派閥の清算といった改革を断行せざるを得ないから、ここで総裁になるのは貧乏くじを引くようなもの。それに選挙のタイミングなどもあって、次の総裁は任期が短そうというか、リリーフ登板のような気配が漂っているので、今回ではなく、次の次に総理大臣の椅子を狙ってるという人もいるだろうね。

今のところ9人の中で有力とされているのは小泉進次郎元環境相、石破茂元幹事長、高市早苗経済安全保障担当相あたり。小泉さんはフレッシュなんだけど、中身もフレッシュすぎるというか、まだ時期尚早といった雰囲気。もうちょっと腹黒さというか、人間的な奥深さを会得しないと、トップに立つのは難しいんじゃないかな。

とはいえ、小泉さんは同世代の政治家の中で知名度的にも頭一つ抜けてるから、将来的には必ず政治の中心に入ってくる。ただ、その頃には上の世代からの後ろ盾は弱くなってるだろうから、『水戸黄門』でいう助さん・格さん的な、脇を固めて盛り立ててくれる人材をいかに集められるかが問われるね。

実力は劣っても生き残れるかがカギ

石破さんはああ見えて周りを窺うタイプだから、バックについてる有力者から何か言われたら、すぐ譲歩してしまう。そこを構わずに突っ走れるかどうかがポイントだね。

高市さんは腹が座ってそうで、今回の総裁選だと勝つ可能性が高いと思う。初の女性首相が誕生したら、日本の政治のイメージも刷新できるんじゃないかな。

先日、俺はイベントの仕事で名古屋に行ってたんだけど、たまたま今回の総裁選の演説会もあったようで、新幹線の名古屋駅で高市さんとニアミスしたんだよ。

俺は以前に消防関係の活動で高市さんと面識があったから挨拶しようと思ったんだけど、すごい数のSP(セキュリティーポリス)が張り付いていて、簡単に近づけるような状況ではなかった。あの物々しさはすでに総理大臣レベルだったよ。
 
今回の総裁選をプロレスに見立てると、9人で一斉に戦うロイヤルランブルみたいなもの。片っ端から相手につかみかかって力比べをする選手もいれば、リングの隅で目立たないように流れを見極めて漁夫の利を狙う選手、自分が場外に落ちそうだから誰かの足を引っ張って道連れにしようとしてる選手もいる。

実力的には劣っていたとしても、最後まで生き残っていれば勝ちという、ゲーム性の高い自民党総裁選なんだよ。

本当の戦いはその先にあるということを肝に銘じて、地位や名誉欲だけでなく、本気で日本を良くしたいと思ってる人になってもらいたいね。  

「週刊実話」10月10日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。