自民党総裁選が「裏金事件裁判」有罪判決で陰り 新総裁誕生後の総選挙にも大きな影響が出る可能性

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自民党総裁選(9月27日投開票)のさなかに注目の裁判の判決が出たことが原因で、自民党内に波紋が広がっている。

9月10日、東京地裁は自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件の裁判で、政治資金規正法違反(虚偽記載罪)に問われた二階派の元会計責任者の男に、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。

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この裁判は裏金がどのように作られ、隠蔽され、そしてどのように使われたかが明らかにされるものとして、判決前から注目されていた。

自民党二階派の元事務局長・永井等被告(70)は今年6月に行われた初公判で、おととしまでの5年間に、派閥のパーティー券収入や議員へのキックバックなどの収支、合わせておよそ3億8000万円を政治資金収支報告書に記載しなかった罪に問われていた。

永井被告は起訴内容を認め、弁護側は「私利私欲のためでなく、会計に関する知識が乏しかった」と、執行猶予付きの判決を求めていた。

9月30日には安倍派会計責任者にも判決

東京地裁の向井香津子裁判長は判決理由で、二階派では当選回数などに応じて所属議員にパーティー券の販売ノルマを課し、ノルマ超過分の売上金は議員側への還流や議員側によるプールが行われていたと指摘。

永井被告について「会計責任者に就任当初から虚偽の会計処理を続けており、常習的犯行、非常に大規模で悪質」と非難し、「会計責任者の重責を法に基づき適正に全うしようとした形跡が全くない。政治不信に繋がる社会的悪影響も多大」と断罪した。一方で、被告本人が反省しているなどとして禁錮2年、執行猶予5年を言い渡した。一連の裏金事件で初めての判決だった。

自民党派閥の政治資金パーティーをめぐっては、安倍派(清和政策研究会)の会計責任者の松本淳一郎被告(76)も同じ罪で公判中、9月30日に判決が言い渡される予定だが、これらが自民党総裁選後の同党に与える影響が危惧されているのだ。

「小泉進次郎氏が総裁となり、世代交代が進めば、ご祝儀相場で自民に票が集まると予想されていたが、その小泉氏の人気も失速気味。今では仮に彼がなっても経験不足で政権運営が危ぶまれている。また、石破氏や高市氏がなれば旧体制が続くイメージが強い。そのため、総裁選後に後に控える総選挙で、裏金事件の悪質ぶりがどこまでマイナスとなるかが注目されているのです」(永田町関係者)

自民党の信頼を失墜させた裏金事問題が、総選挙にどんな影響をもたらすかが見ものといえる。