登山は生涯スポーツ! 体力に不安のある中高年でも始められる登山デビューの方法

『知っている山からはじめよう!大人の日帰り登山』鈴木みき
◆『知っている山からはじめよう!大人の日帰り登山』講談社/1400円(本体価格)

――体力に不安のある中高年がいきなり登山デビューすることは可能でしょうか?

鈴木「個人的には『可能』とお答えしたいです。どの程度の『体力の不安』かにはよりますが、定期的に外出している方であれば登れる山はたくさんあります。その方に合った登山コースを登山中級者が計画・同伴してくれたら、決して不可能ではありませんよ。ただし登山デビューに向けては、身体も心も準備していくことをおすすめしたいです。それは安全登山にも繋がります」

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――登山道具はまず何にこだわって購入したらいいでしょうか?

鈴木「登山靴と靴下でしょうか。登る山によって登山靴の種類が分かれます。最初はトレッキングシューズが汎用性があっておすすめです。登山用靴下を履いた状態の足との相性が大事なので、必ず登山用品の専門店で相談して選んでください。
登山でしか使わないようなリュックや雨具など、ほかの基本装備は、押し入れに代用できる物が眠っていることが多いです。周りに声をかけたら借りられる可能性もあります。レンタル会社もありますよ」

初心者は登山者の多い週末登山が安全

――日常でできるトレーニング方法を教えてください。

鈴木「キホンは『歩く』ことです。最低でも1時間くらい休まずに歩く日を定期的に作るとよいでしょう。エレベーターやエスカレーターを使わず階段を利用するのも効果的です。どちらも最初から無理はせず、少しずつ距離や回数を増やすといいですね。
若い頃とは違うので、中高年は多少努力しないと登山が辛い思い出になりかねません。『これは登山を楽しむためだ!』と意識できるようになれば自ずとサボらなくなると思います。ま、そこに到達するまでが苦しいのは私もよく分かるので『がんばって!』としか言ってあげられないのですが(笑)」

――最初はどんな山を選んだらいいでしょうか?

鈴木「本来であれば登山経験者と相談して選んでほしいのですが、私の書籍を含む初心者向けのガイドブックを参考に、自宅から近くてコースタイムが3時間以内の山を選ぶといいでしょう。登山者が多い週末に行くのも、もしものときに助けが求められるので大事なポイントです。
山では自分より高齢の方々が楽しんでいる様子をたくさん見かけると思います。登山は『生涯スポーツ』ともいわれる長く続けられる趣味です。そのときの体力や気力に合わせて楽しみ方がいろいろあります。山の扉を開けて、自然と親しみながらその時々の等身大の自分を楽しんでください」

聞き手/程原ケン

鈴木みき(すずき・みき)

1972年東京都生まれ。イラストレーター、執筆家。山小屋のアルバイトや山雑誌での読者モデルを経てイラストレーターに。自らの登山経験を描いたコミックエッセイを発表し人気を集め、登山同行ツアーや講演など幅広く活躍している。