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プロ野球“新旧”怪物たちの興亡…佐藤輝明・佐々木朗希・松坂大輔・斎藤佑樹

松坂大輔
松坂大輔(C)週刊実話Web

「令和の怪物」こと千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が間もなく一軍デビューする。5月16日に行われる本拠地ZOZOマリンで行われる埼玉西武戦での先発登板に向け、その牙を研いでいるようだ。

一方、西武は「平成の怪物」こと松坂大輔がいる球団だ。日の出の勢いにある佐々木と、落日の松坂。令和の怪物のデビューマウンドが平成の怪物の在籍チームとの対戦とは、何とも皮肉な巡り合わせだ。

佐々木がプロ最多となる85球を投じ、6回を被安打5、奪三振6、失点1と好投したのは、5月8日の楽天二軍戦だった。当初、この日が一軍デビュー戦になる予定だったが、井口資仁監督は慎重を期して少し遅らせたという。

「井口監督は佐々木がファームで投げるたびに昇格の時期について、質問を受けてきました。『5回を投げられたら』と曖昧な返答を続けたのは、心配だったからです。80球以上、ある程度の投球をしたら、その翌日以降、体力の回復具合や、肩や肘にどの程度の疲労が残るのか、きちんと見ておきたかったようです」(球界関係者)

佐々木は全力投球を禁止されている。160キロ超の剛速球は、緊張しすぎて、変な力が入ったときに出る賜物と言われているのだ。

「二軍戦を観戦していると、佐々木の第一印象は『体は細い、他の選手はガッチリとした体型なのに』です」(スポーツライター・飯山満氏)

それでも、同日は最速156キロを計測。首脳陣が心配する、疲労の蓄積も見られなかった。

「佐々木は新しいスター街道を歩むことになりそうです。体力、体格面はこれからですが、素質は十分すぎるほど。ファンに成長過程を見守られながら、一歩ずつ階段を上がっている印象です」(同)

日ハムのスター斎藤佑樹は今いずこ…

松坂はルーキーイヤーから〝エース〟だった。デビュー戦で初勝利を飾り、同年挙げた16勝はリーグ最多。「平成の怪物」の方がインパクトは強かったが、今日では見る影もない。

古巣西武に復帰してから2年目になるが、ここまで一軍登板はゼロ。この状況に、こんな指摘も囁かれている。

「脊椎内視鏡頸椎手術を受けた昨年7月以降、球団も松坂の居場所をきちんと把握できていないのでは? リハビリに専念しているようですが、今年のキャンプ前、一連のコロナ禍で『来日、チーム合流が遅れそう』と球団が発表したら、後日、すでに国内で調整していて、本人から『新聞を見た』と球団に連絡が入ったこともありました」(スポーツ紙記者)

スターの落日は切ない。その意味では、北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹も同様だ。昨年、右肘を故障したが、手術せずに治すことを選択。キャンプでは順調にすごしていたが、4月8日にファームで打撃投手として登板して以来、音沙汰がない。

「バッピ(打撃投手)を務めた翌日、ヒジの張り具合をチェックしたとは聞いていますが」(同)

〝構想外〟ということも十分に考えられる。平成の球界を沸かせた松坂、斎藤が消えつつある一方、今後、新時代の怪物たちへの期待値は上がっていきそうだ。

「交流戦ですよ。『パ高セ低』は相変わらずですが、球界のニュースは阪神・佐藤輝明選手の活躍でセ・リーグ最優先となっています。佐々木には初登板後も一軍に帯同し、セ球団をきりきり舞いさせてほしいと、パ6球団の経営サイドは願っているでしょう」(前出・関係者)

佐々木対佐藤――。投打の新時代の怪物による一騎打ちが実現すれば、球界には多くの注目が集まる。

技術で飛ばす阪神の佐藤輝明

交流戦は、すでにマンネリ化している。しかし、佐々木と佐藤の対決は、新たな起爆剤となるはずだ。

「佐藤は8日のDeNA戦で2打席連続の適時打を放つなど、5月10日時点で打点28はリーグ2位です。大山悠輔の負傷離脱後は『4番・サード』で出場しており、外野を守っているときよりもハツラツとしています」(在阪記者)

本塁打10も、リーグトップタイ。ホームラン部門でトップを争っているのは、ヤクルトの山田哲人と村上宗隆。この2人が狭い神宮球場を本拠とするのに対し、佐藤は広い甲子園で戦っている。同じ数字でも、価値があるのは佐藤の方だ。

「内角高めに速いボールを投げられると窮屈そうにバットを振っていましたが、いつの間にか対応できるようになりました。自分がどうするべきか、考えながら練習しているのでしょう」(前出・球界関係者)

佐藤は試合前の打撃練習中にゲージの順番待ちをする際、必ず先輩選手のスイングを見る。そして、井上一樹ヘッドコーチに質問もする。その詳細はマル秘だが、先輩選手たちのスイングを模倣することも多い。ケタ外れなパワーの持ち主でもあるが、力任せにバットを振るのではなく、技術で飛ばそうとするのだ。

「対戦投手の持ち球や変化球の軌道をスコアラーにしっかり確認しています。ルーキーでありながら、4番の緊張感も楽しんでいるように感じられますね」(前出・在阪記者)

佐藤もまだ成長過程。マジメに取り組んでいる点は佐々木にも共通している。投打の新たな怪物同士の対決は、無観客でどんよりした試合のムードまで一変させてくれそうだ。

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