「最速の大関昇進」大の里が秋場所で試される“弱点”の克服

両国国技館 (C)週刊実話Web
7月の名古屋場所、ある意味で期待を大きく裏切ったのが、二所ノ関部屋の関脇大の里(24)だった。

連覇、あるいは12勝以上すれば昭和以降、最速で大関昇進と注目されたが、終わってみれば9勝6敗と2桁勝利にも届かず。

唯一、面目を施したのは、連勝中だった横綱照ノ富士に初めて土をつけて殊勲賞、史上初の新入幕から4場所連続の三賞受賞を果たしたことぐらいだ。

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本人も、千秋楽の支度部屋で、こう語って唇を噛みしめた。

「良いところも、悪いところも出た場所だった。(1勝3敗と)序盤が序盤だったので、勝ち越しも怪しいか、と思っていた。反省すべきところを反省し、来場所がんばりたい」

あれから、およそ1カ月。大の里は、どこまで成長できたのか。

得意の右を差せないときの対応

「この夏の間に取り組み、早急に解決しなければいけない課題の一つが、得意の右を差せないときの対応です。喫した6敗のほとんどがこの右を封じられ、先に攻め込まれたものでしたから」(相撲担当記者)

夏巡業中、精力的に申し合いに参加した大の里は、差せなかったときの対応よりも、いかに素早く差すかに磨きをかけたようだ。

8月半ばの札幌巡業では、すっかり明るさを取り戻していた。

「先場所は、序盤、つまずいたけど、まだ負け越したわけではないと気持ちを立て直すことができ、自分を大きく成長させてくれた場所だった。状態は上がってきている。体調管理をしっかりして、秋場所(9月8日初日)に備えたい」

まだ角界入りして1年余りと日は浅いが、すでに人気は全国区だ。

巡業の合間を縫って自分の四股名の由来となった昭和初期の名大関・大ノ里の出身地、青森県藤崎町を初訪問。大勢の地元ファンに歓迎された。

秋場所も成績次第では大関昇進の可能性がある。

じっくりと雌伏のときを過ごした大の里が、どんな実りの秋を迎えるか楽しみだ。