社会

東京五輪直撃“3重変異”コロナ「ベンガル株」で第5波パニック!

(画像)file404 / shutterstock

新型コロナウイルスが猛威を振るっている。三度目の緊急事態宣言は5月末まで延長された。新規感染者が連日1000人前後の大阪では、すでに医療崩壊が起きており、東京も逼迫した状況が続いている。新型コロナは、いつになったら収束するのか。

公衆衛生が専門の医師で作家の外岡立人氏は今後の見通しに悲観的だ。

「残念なことに、先は読めません。新型コロナは人類がいまだかつて経験したことのない感染症と言えます。いま世界で主流となっているのは感染力の強い英国の変異種です。一方、インドで流行しているのは感染力が強いうえ、免疫の攻撃を受けず逃れてしまう変異種の変異です。しかも、それが日本でも確認された。私はインドのような悲惨な状況に陥るとは思わないが、相当警戒しなければならないことは確かですね」

インド種には『L452R』と『E488Q』という2つの特徴的な変異がみられる。特に、免疫細胞から逃れる『L452R』は、米カリフォルニア州から全米に広がった変異種からも見つかっている。

「L452R変異は東アジア人に多く見られるとされます。というのも、カリフォルニア州は米国で最もアジア人が多い地域。L452Rはアジア人の免疫から逃れるため変異し、発現したとも仮定できる。E484Qについては、いまのところ特徴は分かっていません」(医療関係者)

何しろ、インドでは1日の新規感染者数が世界最多となる31万4835人(4月22日発表)を記録したばかり。ウイルスに2つの変異が見られる2重変異種も見つかった。5月1日には、1日の新規感染者が初めて40万人を超えた。しかも、「3重変異種」まで報告されているのだ。

「現地の研究者は3重変異種を『ベンガル株』と名付けました。どうも、2重変異種から進化したもののようです。インドの4つの州から集めた検体から2件確認されたそうです」(サイエンスライター)

不安が常に付きまとう空港検疫

カナダのマギル大学のマドカフ・パイ教授(疫学)は「3重変異株」について、現地メディアに対し、こう警鐘を鳴らしている。

「さらに感染力のある変異株です。とても速いスピードで多くの人に感染している。ワクチンを調整し続けなければならない。そのためには、この病気を理解し、闘いながら分析する必要がある」

日本では2重変異株は21件確認(4月29日時点)されている。加藤勝信官房長官は記者会見で「水際対策や監視体制の強化を通じ、感染拡大防止策を徹底していきたい」と語っているが、不安は常に付きまとう。

「空港検疫はPCR検査よりも精度が劣る抗原検査を採用しており、このままではいずれ3重変異種が日本に襲来するリスクは極めて高い。加えて、高齢者を対象にしたワクチン接種は始まったばかり。終わるのは8月末になるかもしれません」(全国紙社会部記者)

不安なのは、ワクチン接種の遅ればかりではない。菅政権が何がなんでも強行開催しようとしている東京五輪だ。

5月17日の来日が見送られたIOCのバッハ会長は「東京都などに発出された緊急事態宣言と五輪大会は無関係」「これまで逆境を乗り越えてきた日本人なら、厳しい状況も乗り越えられる」と発言しており、五輪中止の選択視など微塵も持ち合わせていない。

「菅首相の意向を忖度したつもりなんでしょうが、国民感情をまるで理解していない」(夕刊紙記者)

ワクチン接種が進まない現状に加えて、東京五輪を強行開催しようとする菅政権。新型コロナは、2重変異種ばかりか3重変異種まで現れ、感染力や病原性が危惧されているのに、だ。

まるで“中学生のような顔付き”の菅首相

「国民の命と健康を守るのが政府の使命のはずなのに、新型コロナの話をしている時の菅首相の顔は、まるで中学生みたいですよ。正直、大丈夫かなと思ってしまいます。ワクチン接種が進み、新規感染者が激減している欧米を見ていると、光明を見る気もするが、油断はできない。第5波ですか? まだ第4波が終わっていないので、何とも言えないが、コロナはしばらく続くでしょう。こんなに変異種が次々と現れると、ワクチンもそれに対応していかなければならない。現実的にそれができるのか」(外岡氏)

ワクチンに代わって、外岡氏が期待を寄せているのが、東北大学の研究グループが開発した経口薬である。

「この新薬はコロナが血管内で炎症を起こし、血栓をつくるのを防ぐ働きがある。新型コロナウイルス患者の肺炎の重症化や後遺症を防ぐ効果が期待できるのです」(外岡氏)

新型コロナによる肺炎の治療薬は、これまで点滴や注射による投与がほとんど。しかし、同薬は錠剤のため自宅やホテルで療養する患者も服用できるうえ、医療従事者の負担軽減にもつながる。

「すでに2回の臨床試験を終えており、重大な副反応はみられないという。研究グループでは今後、2回の臨床試験を経て、早ければ2年以内の実用化を目指している」(医療ライター)

コロナ感染は厳しさを増すばかり。インドのニュースサイト『プリント』の報道によると、英国種が主流だった同国ではインド種に置き換わったという。

「日本では関西圏で英国種による感染再拡大が起き、首都圏に広がっている。インド同様、英国種を凌駕したインド変異種が日本国内で蔓延する可能性は十分あるということ。つまり、コロナ第5波ですよ」(同)

東京五輪開催を模索している場合ではない。

【画像】
file404 / shutterstock

あわせて読みたい