北朝鮮「軍事最優先」で水害復旧も手作業 国民に蔓延する怨嗟の声

画像はAIで生成したイメージ
7月下旬に大規模な洪水が北朝鮮北部の鴨緑江周辺を襲い、鴨緑江沿いにある新義州では、いまだに復旧作業が続いている。

新義州の対岸には、中国東北部の遼寧省丹東市があり、西側メディアはほとんど手作業で行われる復旧作業の様子をとらえている。

【関連】外務省のエリートも脱北! 北朝鮮「崩壊の黙示録」核実験、後継者問題、飢餓・天災… ほか

「北朝鮮からの内部通報者の話では『核・ミサイル開発におカネを掛けすぎて、堤防整備など防災予算がないための人災だ』と住民の怒りの声は大きい」(北朝鮮ウォッチャー)

実際、インフラ整備に事欠く北朝鮮では、住民の怒りに油を注ぐような報道も行われている。

8月5日の朝鮮中央通信は、新型戦術弾道ミサイルの発射台250台を南北軍事境界線付近で活動する軍の「国境第1線部隊」に引き渡したと伝えた。

実戦配備段階にあることを誇示し、米韓をけん制するのが狙いとみられている。

「公開された写真には、金正恩氏の愛娘・金主愛氏の姿も確認されています。この発射台の配備は、弾道ミサイル物量攻勢作戦の第1段階で、かつて『ソウルを火の海にする』と威嚇する手段が弾道ミサイルに進化したといえます」(軍事ライター)

新型弾道ミサイル&無人機の実験も…

写真を見ると、250台の移動式発射台(TEL)は、「火星11ラ」型と命名された近距離弾道ミサイル(CRBM)の発射プラットホームと思われる。

このミサイルは、精密打撃が可能な韓国の戦術地対地誘導兵器ケイティズム(KTSSM)と似ているため、「北朝鮮版KTSSM」とも呼ばれている。 

「150キロ前後の距離を30キロ以下の低高度で飛行することから米韓軍による探知も難しくなりました」(同)

ちなみに、北朝鮮は今回の災害にあたり「職務を怠った」として社会安全相や党高官の更迭を決め、人民の怒りを鎮めようと躍起だが、弾頭の爆発力などを検証する新型戦術弾道ミサイル「火星11型」の発射実験を再び行うとしている。

8月24日には、正恩氏が国防科学院無人機研究所の無人機性能試験を現地で指導していた。

これらの整備が復旧と経済難に苦しむ北朝鮮国民にとって、無用の長物なのは間違いない。