蝶野正洋が“曖昧な防災情報”に喝!「地域別の災害予想と具体的な対策指針を伝えるべき」

対策が分からないから買い占めに走ってしまう 

俺が関わっている地域防災でも、その土地ごとのきめ細かな対策が重要という話になる。同じ東京でも西と東で海抜の差があるし、地盤も違うから、水害の危険度や地震の被害予想も変わってくる。

それなのに「東京」と一括りで警報が出されるから対応が分からないし、パニックになって物資の買い占めに走ってしまう人たちが出てきてしまう。
 
我々にできることは、日頃から自分の住んでいる地域の危険性を把握して、いざとなったらどう行動するかをしっかりシミュレーションしておくこと。ある区の関係者に聞いたことがあるんだけど、その地域で災害時に避難場所が確保できるのは住民の1割程度で、あとはもう収容できないそうだ。

これは先着順というわけにもいかないだろうから、誰をどうやって優先するのか決めておいてほしいよね。地域に避難所が確保できないなら、子供たちはまとまって郊外に疎開するとか、そういった抜本的な対策も想定したほうがいいかもしれない。

避難所のキャパや、公的機関が備蓄している救援物資の量などを考えると、首都圏の人口密集地域で被災した場合、ほとんどの人が在宅避難となり、水や食料なども自分たちで確保しておくというのが現実的だよ。

こうして具体的に考え出すと、今からでも準備できることはたくさんあることに気づくはず。警報や災害報道に対して大げさだと文句を言うよりも、改めて防災意識を高めて普段からの行動を見直してほしいね。 

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。