急増する「墓じまい」でトラブル多発 高額な撤去工事代金を請求されるケースも

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「子供に負担をかけたくない」「遠方にあるため墓参りが難しい」「夫婦それぞれの実家の墓を守るのが大変」…。ここ数年、供養に関する価値観の変化から墓石を撤去、墓所を更地にして使用権を返還する“墓じまい”が急増している。しかし同時に墓じまいのトラブルも後を絶たない。

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2022年度の全国の墓じまい(改葬)件数は、前年比3万2101件増の15万1076件と過去最高になった。墓は親族にとって先祖が安らかに眠る大切な場所。それだけに墓じまいは親族間に大きな影響を及ぼすため後々、遺恨を残すことにもなりかねない。

「私は4人兄弟の次男なんですが、高齢になった長兄が『自分の子供も先祖の墓参りに行かなくなった。永代供養料を払うのも大変だ』と、私を含め3人の兄弟に一切相談せずに墓じまいをしてしまった。しかも、墓じまいの費用負担を4等分にして押し付けたことで、兄弟ゲンカに。今では長兄と音信不通状態です。墓じまいの費用はせいぜい20〜30万円くらいと思っていたら、計300万円くらい掛かった。4等分といっても高額です。そりゃあ揉めますよ」(東京都江東区在住の会社員)

閉眼供養しいないと撤去に応じない石材店も

ちなみに、墓に納められている遺骨を勝手に取り出して別の場所に納骨したり、廃棄したりすることは違法にあたる。墓じまいする際は、檀家になっている寺院の墓地管理者の承諾も必要になる。

「檀家の墓じまいは寺院にとって死活問題。そこで檀家は墓じまいにあたり離檀料を支払う。相場は数万円〜20万円ですが、寺院によっては300万円とか法外な離檀料を請求するケースもあり、トラブルが発生しています」(司法書士)

義務ではないものの、墓じまいには墓から魂を抜く「閉眼供養」を寺院に依頼するのが一般的。費用は3万円〜10万円ほどかかる。

「閉眼供養していないと、墓じまいの撤去作業をしてくれない石材店もある。また、相場より高額な撤去工事代金を請求されたなんてことも起きているんです」(終活ジャーナリスト)

トラブルに巻き込まれないためにも、墓じまいは“根回し”が必要だ。