100円ショップ・セリア不採算店整理で閉店ラッシュ 売上は過去最高を更新も仕入れコスト増大

セリア (C)週刊実話Web
ダイソー、キャンドゥに並ぶ三大100円ショップチェーンのセリアが、物価高の煽りを受けて一喜一憂している。売上は好調も利益が減少し、不採算店の整理が相次いでいるのだ。

セリアといえば、ほか100円ショップが100円以上の商品を展開する中、頑なに100円を維持する路線で知られている。また、店舗の外観や内装、取り扱い商品がおしゃれなことから、熱心なファンも多い。

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しかし、今年に入ってから、セリアは閉店が相次いでいる。今年1月10日に東京都のイオンモール甲府昭和店を皮切りに、大阪府のダイエー四条畷店、岐阜県の大垣バイパス店と、地方を中心に閉店。 

2月以降も岩手県のイオンタウン北上店、滋賀県の近江八幡鷹飼店、富山県のイオンタウン上飯野店などが店を閉めた。8月25日には、大阪府のイオンモール大日店も閉店している。 

「セリアが5月に公開した2024年3月期の決算説明会資料によると、昨年の直営店出店数は133と、前年より1店舗増えたのみ。一方、退店は69で前年から26も増えており、決算資料でも『不採算店整理を推進』とはっきり明記されています」(株式トレーダー) 

一方、売上そのものは悪くなく、それどころか過去最高を更新している。 

消費者思いが裏目に? 100円にこだわって利益が減少

「資料を読み込むと、売上高は約2230億円で過去最高を更新。問題は純利益で、前年比28.3%減の2023年3月期決算から、2024年3月期はさらに4.2%落とし、約98億円でした」(同) 

売上は順調だが、利益がなぜか減っていく…。このカラクリは、燃料費や人件費の高騰にあるという。 

「資料では、売上原価率が約6割に及ぶことを明かしている。この要因となっているのが地代家賃と給料手当で、ともに14億円以上もマイナスを計上しています。つまるところ、仕入れコスト増加が、セリアの経営を圧迫していることになります」(同) 

現在、日本は物価高騰に見舞われており、土地、燃料、食料品と、あらゆるものが値上がりしている。燃料は輸送コストという形で価格転嫁され、さらに人件費が上がれば、薄利多売の100円均一が苦境に陥ることなど想像に難くない。 

「昨今の物価高騰により、薄利多売の商売は限界が来ています。それゆえ、ダイソーやキャンドゥは200円や500円などのアイテムも展開しているわけですが、セリアは今なお100円均一にこだわっている。ユーザーにとっては嬉しくとも、企業としては苦しいでょう。売上高が過去最高というのも、国民が物価高に苦しみ、より安いものを欲しがるという消費行動の裏返しですからね」(エコノミスト) 

この時代でも価格据え置きで頑張る企業は応援したいところだ。