夏バテの脳と胃袋を刺激する240分! ミシュラン三つ星を55年持つレストランに迫ったドキュメンタリー『至福のレストラン三つ星トロワグロ』【LiLiCoオススメ肉食シネマ 第294回】

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夏の暑さでバテ気味の方もいるのでは? 何を隠そう、私もその1人! でも、フレデリック・ワイズマン氏のことを考えたら、夏バテなんて弱音を吐いてはいられない。94歳でまたまたすごい映画を作りました!

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『至福のレストラン』は、ミシュランの星を取り続けるレストランのドキュメンタリー。フランス・ロワール地方の小さな村ウーシュにある『トロワグロ』というレストランってだけでワクワクしますが、とにかく他の食に関するドキュメンタリーとは一味違います。

私はもうトロワグロに行った気になりました。その理由の一つは、上映時間が関係しているかも。240分です。2時間40分ではありません。4時間。でも、これは私にとって、とてもとても“おいしい時間”でした。

お客さまへの気遣い、理解力、そして、みんなに寄り添う姿が映し出されます。ここまで高級なレストランだと、シェフに「俺の作ったものを黙って食え!」と言われそうな雰囲気も漂いますが、まったくそうではない。

「映像を堪能したあと、何を食べたらいいのか本当に迷いました」

アレルギーや食に対する、さまざな壁を待つお客さまへの細かい配慮をスタッフが共有するなど、レストランの一体感にも感動します。また、外の風景と溶け込んで、森の中での至福の時間を堪能できる。

オーナーシェフのミッシェル・トロワグロ氏のご家族とスタッフたちの食だけではなく、空間すべてのこだわり、そして料理は間違いなく芸術です。また、シェフが日本で出会った食材を今も大切に料理に取り入れていて、少し近くに感じられます。

個人的には、私はチーズが大好きでして、チーズプレートがあれば必ず注文します。しかし、ここはチーズ担当がワゴンを押してきてチーズの説明をする、その数に驚き。優に40種類以上! 最後のチーズの説明のときには最初の説明を忘れていました…。

でも、ここに最強の贅沢を求めるお客さまは、すぐに自分の好みで選んでいました。食に対する考えはさまざまだと思います。若いとき、食は生きるためのガソリンと思っていました。でも、年齢を重ねると、おいしいものをじっくり楽しみたい。

長年、三つ星を獲得しているのも納得。オーガニックの農園や牧場、チーズ工場などを訪ねるのはもちろん、生産者とちゃんと繋がってます。

いつも言うように、人は人でしか繋がらない。それが食へと導いてくれます。この映像を堪能したあと、何を食べたらいいのか本当に迷いました…。

至福のレストラン三つ星トロワグロ 
監督・製作・編集:フレデリック・ワイズマン 
出演:ミッシェル・トロワグロ、セザール・トロワグロ、レオ・トロワグロ、マリー=ピエール・トロワグロ、トロワグロで働くスタッフほか 
配給:セテラ・インターナショナル Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開中

親子3代にわたりミシュラン三つ星を55年間持ちつづけるフレンチレストラン「トロワグロ」の秘密に迫ったドキュメンタリー。建築家パトリック・ブシャンの手による、周囲の自然と解け合うレストラン「トロワグロ」では、オーナーシェフ3代目のミッシェル・トロワグロ氏と4代目のセザール・トロワグロ氏、そしてスタッフたちのあくなき食への追求が日々続いている。創業以来94年間、家族で始めたレストランがなぜ変わることなく愛され続けてきたのか、カメラがとらえていく。

LiLiCo(リリコ)

映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。