豆腐店の倒産が過去最多ペース 原材料と運送費の値上げで“物価の優等生”に生産危機

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卵、モヤシと並ぶ“物価の優等生”である豆腐が、生産危機を迎えている。

帝国データバンクによると、スーパーなど小売店向けにパック豆腐などを生産する豆腐店の倒産と廃業件数は、今年1〜7月までに計36件。昨年の計46件を上回る過去最多ペースとなり、今年は年間60件台に到達する可能性があると指摘している。

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1960年のピーク時には豆腐製造事業所が全国で5万軒以上あったが、2019年には6000軒を割り込み、その後も減り続けている。 

「昔の豆腐屋さんは午前3時ごろから製造を始めていた。それだけ豆腐作りには手間が掛かるのです」(フードライター) 

一つひとつ手作業で作られる豆腐の大量生産は難しいとされていたが、1970年代半ばに大手豆腐メーカーがこぞって工場でのライン化を進めてきた。 

「大手メーカーの大量生産によって、薄利多売で価格の安い豆腐をスーパーや小売店に卸した影響は計り知れませんよ」(流通誌記者)

町の豆腐店が倒産、廃業を余儀なくされる背景には、まず原料の輸入大豆の高騰、電気・ガス代や運送費の値上げなどが挙げられる。

後継者不足も大きな課題

「豆腐は生鮮食品同様、日持ちしないから特売品の目玉として売らなければならないことが多く、コスト上昇分を販売価格に転嫁しにくい事情があるのです。豆腐店の損益は約半数が赤字となっている」(同)

また、薄利多売による経済環境の悪化に加え、後継者難といった課題が重なったことも倒産や廃業が急増した要因とみられている。

だがそうした半面、この10年で売上を1.3倍に伸ばした豆腐メーカーがある。佐賀県武雄市にある『佐嘉平川屋』だ。2024年7月期の売上高は10億円を見込んでいるという。

「スーパーとの取引を継続・拡大しようと豆腐メーカー同士で価格競争を繰り広げた結果、経営を圧迫する負のスパイラルに陥ってしまった。かつて同様の苦境を経験した佐嘉平川屋は、スーパー依存度を減らし、通信販売に力を入れたことが好業績につながったようです」(同)
 
町の豆腐店の生き残りも熾烈さを極めているのである。