TSMC工場進出から半年「熊本県菊陽町」はまだ半導体バブルが続いているのか? 現地を歩くと…

TSMCの熊本工場 (C)週刊実話Web
半導体の受託生産で世界最大手の台湾企業「TSMC」が、熊本県菊陽町に巨大な工場を完成させて約半年。落成当初は連日、熱狂ぶりが報じられていたが、現在はどうなっているのか。

「半年経てば熱気も冷め、もと通りの田舎町に戻ってるんじゃないかという意地悪な視点で取材に向かったのですが…」

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こう苦笑するのは、フリーライターの松岡廉氏だ。

「とんでもない目に遭いました。どこに行っても人だらけ。ホテルも満室で、泊まるだけでも大変でしたよ」

ホテルはどこも満室だ (C)週刊実話Web
TSMCの熊本進出が決まると、キャベツ畑が広がるのどかな街にマンションやホテルの建設ラッシュが起き、空前のバブルに突入したが…。

「それでも部屋がぜんぜん足りてない。『九州に行ったついでに寄ってみよう』程度の気持ちで現地に入ると、間違いなく後悔しますよ」

松岡氏によると、中心街のアーケードはアジア系の家族連れがあふれ、大型商業施設などには国内移住組が多い印象だという。

アジア系の人々であふれたアーケード (C)週刊実話Web
「飲食店やスナックも連日満席で、チェーン店はアジア系のお客さんでごった返し、大箱の老舗居酒屋などには背広の出張族が団体で宴会をしてますからね。まるで昭和かバブル時代にタイムスリップしたかのような感覚に陥りますよ」

東京・自由が丘から進出した店も

そう聞くと、行ってみたくなるのが記者というもの。当サイトの記者も九州取材のついでに熊本に足をのばしてみた。

松岡氏の言う通り、繁華街は新宿・歌舞伎町のような賑わいぶりだ。

飛び込む店すべてが満席で、暑いのにビールにもありつけない。

そんな中、まだプレオープン状態だという「おでんBAR」が記者を迎え入れてくれた。

このお店、なんと東京・自由が丘から進出したばかりだというのだ。

店名は『おでんGAOKA』(熊本県熊本市中央区新市街2-2西銀座ビル4階=080-3910-1399)。イケメンのダンディーな店長が言う。

『おでんGAOKA』 (C)週刊実話Web
「こっちは、どんな店でも『時間制飲み放題』が主流で、皆さん何軒もまわりながら夜を楽しむスタイルですね。ウチは両方選べるようにしてます。一杯とおでんだけでも大丈夫ですし、60分歌い放題と飲み放題で3000円からの価格設定です」

おでんは110円からで、女将直伝のおつまみも豊富にとりそろえている。

「九州は荒い人たちが多い印象で、僕も最初はビビってたんですが、歓楽街の各交差点には県や市の職員さんが立っていて、客引き禁止や暴力団排除を徹底しているんです。イメージしていた熊本とは違い、とてもクリーンな街ですので、安心して飲んで朝まで遊べますよ」(店長)

TSMCが工場を次々に増やしており、他のメーカーや大手の居酒屋、ホテルチェーンなども進出を続けている熊本。松岡氏の忠告通り、当サイトの記者もホテル難民になったことは言うまでもない。