「再婚した夫と私の娘が…」急増する“ステップファミリー崩壊”の悲劇

娘の寝室から夫との睦み合う声が…

(このままでは家庭が崩壊してしまう…)

そんな恐れを抱いた紀香さんは証拠を突きつけて追及したが、2人は悪びれることもなく「こうなっちゃったんだから、しょうがないじゃない」と繰り返した。

その開き直ったような態度に紀香さんはショックを受けたが、「夫の気持ちを取り戻そう」とする彼女に、さらに絶望的な夜が訪れる。

「夫に迫ったら『気持ち悪いからやめろ!』と拒絶されたのです。夫は下着姿の私を汚物でも見るような目で眺めながら『その身体で娘に対抗しようとするつもりか』と吐き捨てるように言うと、あろうことか寝室を出て娘の部屋に行ってしまいました」

娘の部屋からは軽い言い合いの声が聞こえてきたが、しばらくするとそれは睦み合う声に変わったという。

「娘の瑞々しくしなかやかな肉体を思い浮かべました。それが夫に絡みついてあられもない声をあげている…地獄のようだと思いました」

しかも翌日から夫と娘は家に帰って来なくなった。

「パパとおねえちゃんは、どうしたの?」と不安がる息子の痛ましさもあって、紀香さんが夫に「今後について」たずねたところ「お前がいる限り帰らない」と言われたという。

「なんでも娘が『ママの顔を見るのがつらい』と言うのだそうです。妻として夫を寝取られた怒りはありますが、母として娘を苦しめることもできません…」

こうして、紀香さんが家を出ることにしたという。

「あれから1年近く経ちます。彼らも引っ越しをして新しい生活を始めたそうですが、周りからどういう目で見られているのか、息子はどう感じているかなど心配の種は尽きません」

現在「生まれて初めてのひとり暮らし」をしている紀香さんは「何が間違いだったのか」自問自答を繰り返す日々を送っている。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。「壮絶ルポ 狙われるシングルマザー」(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。