優良企業のOLが悩む「制服セクハラ」の実態 年代別にスカートの丈を決められ、ベストの模様にも“罠”

男性社員の「のぞき行為」が急増

しかも、よく見ればスカートが下半身にフィットするタイトスカートに変わり、柄モノになったベストに施された幾何学模様は胸元がボリューミーに見える目の錯覚作用があったという。

「つまり、身体のラインが強調され、胸が大きく見えるデザインになっていたということです。社長は『今までよりずっとカッコ良くなっただろう?』とご満悦でしたが、下品になったとしか思えなくて、『OLモノのDVDでも観て影響されたんじゃないの?』と女性社員の間で評判でした」

これだけでも十分にセクハラに値すると思われるが、さらに悪質だったのが「のぞきの横行」だったという。

「男性社員たちが、ミニスカート姿の社員が通りかかるとワザと物を落として拾わせるとか、よく使う備品を高い位置に移動させて、背伸びしないと取れないようにしたのです。もちろん、社長以下、男性社員はそれをニヤニヤしながら見ています。見かねたロングスカートの社員が手伝うと、あからさまにガッカリしたり、舌打ちされたり…。もともと気安く肩に手を置いたり、背中を叩くなど、ムダにボディータッチの多い会社でしたが、制服をリニューアルしたことでセクハラ体質に拍車がかかったような気がします」

その後、20代社員の間ではこっそりスカートの丈を長めにリフォームすることが流行ったそうだが、「余計な手間も出費もかかるし、ホント迷惑です」と愛美さん以下、女性社員の反発は続いているという。

ただ、どんなに嫌気がさしても女性社員が退職しないのは、ひとえに待遇が良いからだ。

「会社の規模の割にはお給料も良いし、福利厚生も充実しています。親会社がデカいので、まず倒産の心配もない。しかも現在は物価高が進んでいますし、まして女である私達に安定した職場を手離す勇気はありません」

SNSなどに社名を出して炎上させる手もありそうだが、それで会社の経営が危うくなれば意味がない。なんとも歯がゆい状況だ。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。「壮絶ルポ 狙われるシングルマザー」(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。