カスハラ自殺で異例の労災認定「そんなんじゃ銭なんか払わねえぞ」被害者の携帯電話に残された客の怒声

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客からの悪質なクレームや嫌がらせ、いわゆる「カスタマーハラスメント」が大きな社会問題となっている。

7月23日、千葉県柏労働基準監督署が、男性会社員(当時24歳)の自殺原因が「カスハラ」にあるとして、労災認定していたと判明した。

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「男性社員は2019年4月、埼玉県越谷市の住宅メーカー『ポラス』に入社。関連会社の営業として、千葉県内の住宅展示場で働いていました」(社会部記者)

ところが、20年8月に社員寮から飛び降りたのである。

「自殺だったとして、両親が22年に労災申請。昨年10月にこれが認められた」(同)

「追加費用が必要になった」

カスハラの要因となったのは、20年2月に住宅を新築中の男性客に「追加費用が必要になった」と説明したことがきっかけだ。

「委託業者が汚した隣家の外壁を清掃させられたほか、休日に電話に出られなかったことを怒鳴られることもあったそうです」(同)

同年8月上旬には、業者が現場近くの路上に駐車し、近隣住民に迷惑がかかっていると、この顧客からクレームが入った。

「男性社員の携帯電話には、『そんなんじゃ銭なんか払わねえぞ』『すみませんで済むか!』との怒声が残されており、現場監督と共に謝罪に訪れたものの、『バカ!』などと責められたというのです」(同)

こうした経緯から、柏労基署は「顧客から著しい迷惑行為を受けた」などと指摘。精神疾患を発症したと判断し、労災認定に踏み切ったのだ。

「カスハラは、特に小売や金融など個人を顧客とする業界に多い。これらの業界も対策マニュアルなどを作成しているものの、なかなか被害が減らないのが現状です」(経済記者)

今の時代、「お客様は神様ではない」ことを、客側も知るべきだ。