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大相撲力士の死…「手をつかず顔から落ちろ」相撲の基本“全否定”物議

両国国技館
両国国技館 (C)週刊実話Web

あらためて言うまでもなく、力士たちは丸い土俵に命を懸けているが、そのことを文字通り、我が身をもって証明した力士が現れ、角界は大きなショックに揺れている。

4月28日、三段目力士の響龍(本名・天野光稀さん/境川部屋)が亡くなった。まだ28歳だった。死因は急性呼吸不全と発表されたが、引き金となったのは春場所13日目の取組だ。

すくい投げを食らって頭から真っ逆さまに土俵に落ちた響龍は、頭部を強打。意識はあったものの動けず、病院に救急搬送された。

「いま一生懸命、治療に専念しております」

師匠の境川親方(元小結・両国)はそうコメントしたが、関係者の話によると入院中はクビから下が全く動かず、ずっと寝たきりの状態だったという。

これからの指導は「迷わず手をつけ」!?

現役力士の死は昨年5月、新型コロナによる多臓器不全で亡くなった三段目の勝武士以来だが、取組中のアクシデントがきっかけで亡くなるのは極めて異例だ。

「突然の訃報に驚き、ぼう然としております。今はただ、安らかに眠ってほしいと願っております」

八角理事長(元横綱・北勝海)はそう悔やんだが、力士たちも一様に戸惑いの色を隠せなかった。というのも、常日頃から投げの打ち合いになったら「(手はつかず)顔から落ちろ」と厳しく教えられ、石のように固められた土俵で頭や顔を打っても、厭わないことを美徳にしてきたからだ。

つまり、響龍の死は基本の全否定につながることになる。

「これからは、迷わず手をつけと教えなくちゃいけないんですかね。そんなことになったら、ますます勝負が淡白化してつまらなくなります。ただでさえ力士の大型化が進み、すぐ転ぶ相撲が急増していますから、ファンの反応が心配です」(協会関係者)

角界は大きな課題を突きつけられている。

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