名古屋場所もいよいよ終盤。復活を目指す横綱照ノ富士（32）が、12日目を終えたところで早くも後続に2差をつけ、優勝争いは半分シラケムードが漂っている。誰が照ノ富士の独走を許したのか。

親方たちの間では早くも犯人捜しが始まっているが、その1人が先場所、史上最速で優勝した期待の新関脇・大の里（24）であるのは間違いない。

【関連】朝乃山のケガでハイパーレスキュー隊の特殊車両まで出動！ 波乱の「名古屋場所」を制するのは誰だ？ ほか

連覇すれば一気に大関昇進もと言われ、場所前の人気は断トツ。心配された“優勝後遺症”の稽古不足もなく、「どういう相撲をみせてくれるか、楽しみだ」と高田川審判部長（元関脇安芸乃島）も期待を寄せていた。

ところが、初日は元大関の御嶽海、2日目も元大関候補の若元春に連敗。4日目も新小結の平戸海に負け、豪ノ山、琴櫻にも連敗し、連覇どころか勝ち越しすら危うい状況に追い込まれたのだ。

なぜ、こんなことになったのか。

初日の御嶽海から実践

「プロの世界は、そんなに甘くないということですよ。入幕するや、3場所連続2ケタの勝ち星を挙げ、3場所目に優勝まですれば、当然、他の力士たちは攻略法を研究する。その成果が実ったということです」（担当記者）

しかも、こうした研究成果は力士たちの間で共有されているという。

「いまや、大の里は“裸の王様”。これからも苦戦を強いられる場面が増えるでしょう」（同）

では、先場所まで破竹の勢いだった大の里の攻略法とはどんなものか。親方の1人は次のように明かす。

「大の里の魅力は、右差しからの圧倒的な出足です。それを封じる方策は2つ。右差しを封じ、先手を取って攻めることです。大の里は攻めているときはいいけど、いったん守りにまわると意外にもろいからね」

この攻略法で見事に大の里を仕留めたのが、初日の御嶽海。右差しを封じて一気に押して出ると、大の里は何もできないまま、土俵を飛び出した。

まんまと新鋭の鼻を明かした御嶽海は、「向こうは緊張していたんじゃないか」と笑い飛ばしていたが、兄弟子の怖さを思い知らされた大の里は「ダメでした」とつぶやくばかりだった。

名古屋場所も残りわずか。さあ、大の里はどこまで盛り返すのか。