猛暑の「冷やしキュウリ食中毒」にご用心! 過去には500人以上が発症、死者が出たケースも

(画像はAIで生成したイメージ)
夏の風物詩の一つとも言える「味付け冷やしキュウリ」。毎年、夏の祭りや花火大会でも涼を求める客に人気で、インバウンド景気に沸く京都や鎌倉などで外国人観光客や日本人の若者らが歩きながら食べる姿をよく見かけるようになった。

しかし、食品衛生アナリストはこう警告する。

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「生野菜は殺菌・加熱の工程がなく、キュウリなどは表面に細かい毛が生えていることもあって、よく洗っても細菌を完全に除去することが難しいとされています。衛生管理を怠れば、『腸管出血性大腸菌O157』などの食中毒につながる危険性を孕んでいるのです」

実際、2014年7月には静岡市の花火大会で露店の冷やしキュウリを食べた510人がO157よる食中毒を発症、うち114人が入院。16年8月にも、千葉県と東京都の老人福祉施設で出された「キュウリの和え物」からO157が検出され、発症者の10人が死亡しているのだ。

“殺人細菌”O157の恐怖

「1996年の夏には、大阪府堺市で学校給食を原因として児童7892人を含む9523人がO157に感染し、児童3人が死亡した事件がありました。これによってO157は、最悪の場合は腸からの深刻な出血を伴って死に至る“殺人細菌”として恐れられるようになった」(前出・アナリスト)

この集団食中毒事件では、児童が食べた食材を調べたが感染経路は特定できず、当時まだポピュラーでなかった「カイワレ大根」が疑われて大騒動になった。

それほど夏場の生野菜は危険ということだ。

「夏野菜の代表格であるキュウリは、水分が90%以上を占めるため、細菌も増殖しやすい。各自治体の保健所は、屋台や露店事業者に対し、原材料の入荷から最終出荷まで、長時間の低温管理を注意喚起しています」(全国紙記者)

猛暑の影響で、今年も「冷やしキュウリ」の需要はさらに高まるだろうが、家庭でも温度管理などに十分気をつけてほしい。