手塚治虫「あんなものは漫画ではありません」石ノ森章太郎『ジュン』が連載中止になりかけた“迷言”
2024.07.20
エンタメ
終生枯れなかった創作意欲
こうした同業者への批判の裏には、新しい才能への強い嫉妬心があった。
70年代に入ると「手塚の作風は古い」とする批判の声が増加し、実際にその人気は低迷傾向にあった。
だが、手塚は73年に過去の医学生としての経歴や、劇画を研究した際の技法を盛り込んだ自身の集大成的作品『ブラック・ジャック』を世に出し、これが大ヒットとなる。
さらに『三つ目がとおる』『ブッダ』などの新連載もヒットして、手塚は完全復活を果たしてみせた。
その後、80年代にも『陽だまりの樹』や『アドルフに告ぐ』など話題作を量産した手塚は、胃がんで亡くなる間際にも3本の連載を抱えていた。
60歳没。一時はスランプに陥りながら、そこから復活を果たしたのは、マイナスの感情をプラスに変換するだけの努力が根本にあったからだ。
どんなに忙しいときでも年間100本以上の映画を鑑賞し、打ち合わせの合間などに少しでも時間があれば、道端の書店に飛び込んで立ち読みをしていたともいう。
手塚を「天才」と呼ぶ声に対しては「天才? とんでもない。私ほど苦しんでいる人間はいないんじゃない? 悩んでも損と分かっているのに」と語っていた。
だが、その一方では「アイデアだけは、もうバーゲンセールしてもいいぐらいあるんだ」とも述べ、創作への意欲は終生衰えることがなかった。
(文=脇本深八)
手塚治虫(てづか・おさむ)
1928年11月3日生まれ~1989年2月9日没。大阪府出身。46年に4コマ漫画『マアチャンの日記帳』でデビュー。たちまち人気漫画家となり、生涯にわたり描いた作品は700タイトルを超える。63年には自作を元に、日本初の本格的テレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』を制作するなど、日本の漫画界、アニメ界に大きな影響を与えた。
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