森永卓郎が警告! 日本人が急速に短命化!? 20年後には平均寿命が5~6年短くなる可能性

森永卓郎 (C)週刊実話Web

6月28日の為替市場で対ドル為替レートが161円台と38年ぶりの円安となった。

政府・日銀は、小出しのドル売り介入に出た可能性があるが、効果はほとんど出ていない。

円安の原因は、ほぼすべて投機筋の動きだ。

日本は200兆円に及ぶ外貨準備を保有しており、やる気になればいくらでも対抗措置を取れるのに、実際に為替介入の判断を行う財務省は小出しの介入に終始して、動きをみせない。

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対外関係を気にしているのか、あるいは大量の為替介入を行うと10兆円単位の為替差益が発生するため、財政に莫大な「埋蔵金」が存在することがバレてしまうことを恐れているのかもしれない。

いずれにせよ、財務省が動かないことを見透かした投機筋が過度な円安を仕掛けているのだ。

それでは、このまま手をこまねいているしかないのか。私は、もう一つの手段があると考えている。それは、年金積立金の活用だ。

現在、年金積立金管理運用独立行政法人が運用している外貨建ての債券と株式は112兆円に達している。これを売却するのだ。

為替の介入は効果が一時的にしか続かないという意見もあるが、そうではない。

いくら為替市場が大きいとは言え、100兆円規模でドルを売れば必ず大幅なドル安(円高)になる。

投機筋は手持ち資金で勝負をしているのではない。「レバレッジ」と言って、借金を加えて手持ち資金を何倍にも水増しして勝負をかけている。

だから、予想外の方向に大きな為替変動があると、「ロスカット」と言ってその時点で破産してしまうのだ。

年金積立金は、投機筋を破産させるのに十分な規模を持っている。積立金は政府のカネではなく国民のカネだから、海外から文句を言われる筋合いもない。

穴埋めをするのは20年で十分!?


100兆円の外貨積立金をどうするのかと言えば、私は20年間、毎年5兆円ずつ年金財政の穴埋めに使えばよいと思う。

いまの年金は財政悪化を食い止めるためにおかしな制度が次々に導入されている。

例えば、毎年の年金給付の改定は、物価上昇率と賃金上昇率のどちらか低い方に合わせることになっている。これだと、年金給付はずるずると減る一方だ。

さらに政府はパートタイマーの厚生年金への加入義務に関して、企業規模要件を廃止し、中小・零細企業にまで完全に広げる方針だ。

厚生年金への加入が義務付けられると、健康保険や雇用保険への加入も同時に必要になるから、労働者は年収の15%、雇用する企業も15%の負担が新たに発生する。

経営が続けられない中小・零細企業が続出するのだ。

現在、厚生年金財政の支出総額は48兆円だから、5兆円の積立金を使って財政補填をすれば、こうした制度改悪を阻止することができるだろう。

それでは、積立金の取り崩しを終えた後、どうするのかということになるが、それは心配ないと私は思う。日本人の平均寿命が急速に短くなっているからだ。

2022年と20年の平均寿命を比較すると、女性は0.62歳、男性は0.51歳短命化している。

このペースが20年続けば、日本人の平均寿命は5~6年短くなる。

短命化は新型コロナの影響だとする見方が一般的だが、今月末ごろに発表される昨年の平均寿命でも、さらなる短命化が進んでいる可能性が高いと私はみている。

短命化が進めば、年金財政の心配をする必要はなくなるのだ。