異彩を放つ怪談師・まつむら眞弓 ベテラン女優が披露する怪談朗読劇に注目集まる「亡き姉が寄り添ってくれてます」

双子の姉と漫才コンビ「そっくりさん」結成


実はまつむらには、38歳で死に別れた一卵性双生児の姉がいる。

高校卒業後、1年間の社会人生活を経て、2人一緒に東映の門を叩いたのだ。

まつむら「当時、双子の歌手はザ・ピーナッツさんやリリーズさんなど、結構いらしたのですが、双子の俳優はいなかったので、『それを売りにしよう』と養成所の試験を受けたんです。採用されると、時代劇の監督が『2人に同じ着物を着させろ』と。ドラマで森の石松役をしていた尾藤イサオさんに監督が演技指導をしている近くで私たちが待機していると、尾藤さんが『監督、全然話は違うんですけど、あそこに同じ顔の人が2人見えるんです。幻覚ですかね?』なんて。監督は私たちのことを“松村(本名)シスターズ”と呼んで面白がってくれました。
また、新人の頃はガチガチに緊張していたので、会う人ごとに大きな声で挨拶をするんですね。『水戸黄門』(TBS系)の高橋元太郎(うっかり八兵衛)さんに私が『おはようございます!』とやると、5分後くらいに姉が挨拶。すると高橋さんが『君ね、昨日も思ったけど、2回も挨拶しなくていいよ。会うたんびにされたらこっちもしんどいから』って。双子と知ってすごく驚かれてましたけど、以来、とてもかわいがっていただきました」

――シスターズと呼ばれるくらいだから、コンビ芸もできそうだ。

 まつむら「そういえば、売名行為で漫才のコンビを組んだこともありました。なんばグランド花月に出たり、チャンバラトリオさんと組んだことも。当時のコンビ名は『そっくりさん』。こっくりさんと同じ発音で言うんですけどね(笑)」

 ――怪談の話から脱線してしまいましたが、霊感的なものはあるのでしょうか?

まつむら「これが全くないんです。公演中に黒アゲハが肩にとまって、まるで演出のようだったとか、あるお寺で『耳なし芳一』の平家の落ち武者のくだりをやっていたら、後方の席の方たちがザクザクと砂を踏む大勢の足音を聞いた…というのはありますけど。
ただ一つ、ドラマ撮影のときや怪談朗読劇をしているときは、必ず姉が私の左側に寄り添ってくれています。それは強く感じるんです。漫才のときの立ち位置でしたから(笑)」  

まつむら眞弓(まつむら・まゆみ)

1960年11月11日生まれ。兵庫県神戸市出身。7月16日、新選組隊士等慰霊供養祭が執り行われる京都・壬生寺にて(1)14:00~「新選組異聞 怪談あかずの井戸」(2)15:30~新作「近藤勇の花嫁」の2公演を予定。問い合わせ080-1115-8743(日本史別天地)