日本一生徒数が多い社会科講師が徹底紹介!『アイム総理 歴代101代64人の内閣総理大臣がおもしろいほどよくわかる本』

『アイム総理 歴代101代64人の内閣総理大臣がおもしろいほどよくわかる本』伊藤賀一


『アイム総理 歴代101代64人の内閣総理大臣がおもしろいほどよくわかる本』KADOKAWA/1800円

伊藤賀一(いとう・がいち)
1972年京都生まれ。新選組で知られる壬生に育つ。リクルート運営のオンライン予備校『スタディサプリ』で、日本史・歴史総合・倫理・政治経済・公共など社会科の大半を担当。多数の著書を執筆しつつ、プロレスのリングアナウンサーなども務める複業家。


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――日本ではこれまで歴代101代、64人の総理大臣がいるとか。書籍にまとめようとしたきっかけは何だったのですか?

伊藤 長年、予備校で受験生や大学生、社会人を相手に授業をしてきましたが「総理個人についてはほぼ何も知らない人が多い」ことを痛感していたからです。私たちは、内閣の長と国会の与党総裁を兼ねる「日本代表のエース」たる総理・総裁の政策や言葉に常に注目していますが、1人の人間がある行動を取り言葉を発したとき、その人間の学びやキャリアの総体=人生を見た上で判断しなければ、その真意は分からないと思います。

――伊藤さんにとって印象深い総理は誰ですか?

伊藤 第20代総理の高橋是清ですね。13歳でアメリカ留学した際、うっかり奴隷契約を結ばされ、アメリカ人家庭に売られましたが、自力で交渉して15歳で帰国。その後、英語講師をしながら芸妓の三味線持ちをやったり、せっかく官僚になったのにペルーの銀山開発に行って失敗したりしながら、結局は日本銀行総裁や大蔵大臣を経て首相になった。そして最後は、『二・二六事件』で暗殺されるというミスター波瀾万丈ですから。

 歴代総理の偉業・珍業を楽しく学べる

――歴代総理の面白いエピソードを紹介してください。

 伊藤 いい話では、大学院在学中に進路に悩んでいた小渕恵三首相は、25歳で世界38カ国を1人で旅し、アメリカで直談判の結果、ロバート・ケネディ司法長官が会ってくれたことに感激。帰国直後に衆議院議員選挙で初当選しています。また面白話だと、菅直人首相は学生時代に麻雀の自動計算器『ジャンタック』を発明し、なんと特許も取得しています。

 ――9月の自民党総裁選が近づく中、岸田文雄首相が低支持率に苦しんでいます。伊藤さんの評価は?

 伊藤 最近よく対談させていただいている元外務省主任分析官の佐藤優さんもおっしゃっていましたが、岸田首相は内政はグダグダでも外交はシッカリという、意識高い系の店でよく見る、トロトロの具にカチカチの皮、という高級パン的な政策の人。例えばトランプ前米大統領は「トランプのしそうなこと」しかしないので予測しやすいのですが、岸田首相は常に検討中の割に「何をするか分からない」部分があるので、案外タフで長持ちするのではと思っています。このようにメディアの報道で見えている部分と、実情部分にギャップがあるのが、歴代総理だと思います。ぜひ個々のパーソナリティー(ただし語源はペルソナ=仮面)に注目してください。 

(聞き手/程原ケン)

「週刊実話」2024年7月18日号より