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『タケノコメバル』兵庫県南あわじ市/福良漁港産~日本全国☆釣り行脚

『タケノコメバル』兵庫県南あわじ市/福良漁港産~日本全国☆釣り行脚
『タケノコメバル』兵庫県南あわじ市/福良漁港産~日本全国☆釣り行脚(C)週刊実話Web

わ~、何コレ~? ヌルヌルしていて長いのがブラブラしてる~♪ 美味しそうだからくわえちゃお♪

せっかく淡路島まで遊びに来たのだからと、夜遊びに繰り出した春の週末。島の南端に位置する福良漁港を訪れたところ、様子見で出した竿の先がすぐに「プルンプルン~」と震えました。思いのほかの好反応に悦に入ったのも束の間、食わえ込んでから楽しませてくれるのかといえば、そうでもありません。ドキッとさせられる意外性などは何もなく、すぐに果ててしまいます。

「う~ん、やっぱり若いな。よかったのは食いつきだけか…。ロリロリなお子ちゃまじゃ満足できねぇのよ。オレの竿をグッと高ぶらせるアダルトはおらんかのう…」

今宵、ワタクシが狙っているのは、つぶらな瞳とムチムチとした豊満なボディー、派手さはないものの、いったん食わえ込むと激しい攻めで楽しませてくれる〝オトナのメバル〟なのです。淡路島は、そんな〝オトナのメバル〟が揃う人気の遊び場でして、それを狙うオトコたちが夜な夜な集うのであります。

この日も夜の帳が下りた頃から、同志がチラホラと姿を現しました。彼らが自慢げに振る竿はシャキッと張りがあり、絶妙な硬さで操作性もよさそうです。一方のワタクシ、使い古した安竿は何ともコシがなく、硬さや操作性ではとてもかないません。長年の酷使で、ちょっと曲がっちゃってますし…。

でも、そんな竿に恐る恐る食いついてくるような、根暗~なヤツを狙うのがイイんじゃありませんか。そういうヤツほど、掛かってから激しい行為が楽しめるわけでして、そういうのがソソるんです。

閑散の先端部でゴツゴツ、グンッ!

日本全国☆釣り行脚~『タケノコメバル』~兵庫県南あわじ市/福良漁港産 
日本全国☆釣り行脚~『タケノコメバル』~兵庫県南あわじ市/福良漁港産(C)週刊実話Web

ということで、長くてヌルヌルしたエサをぶら下げて、場末感漂う港奥の岸壁から探り始めます。スレていないロリロリなメバルは、プルンプルンとアタリばかり派手で食い込みません。しばらくやるうちに、ふとあることに気がつきました。

「どうしてほかのオトコたちは堤防の中ほどに固まっているのだろう。先端なんて誰もいねぇじゃね~か」

不思議に思ってよ~く目を凝らしてみると、堤防中ほどから先にはかなり低い位置に電線が張られているようです。シャキッと硬い竿で沖を広く探って出会いを求めているオトコたちにとって、コイツの存在はかなり邪魔。ゆえに先端周りを敬遠しているようです。

「ということは…」

逸る気持ちを抑えつつ堤防先端に進み、長くてヌメヌメしたイソメを付けた仕掛けを静かに沈めます。

するとすぐに「ゴツゴツッ!」と反応が! でも、デキるオトコはここで焦りません。やや右曲がりになった安竿の先っちょを少し下げ、深くまで送り込むと「スーッ!」と持ち込まれました。ヨシ、奥まで入ったぞ。ぐへへ♪

ここで竿を立てると「グンッ!」と重みが伝わります。思いのほか力強い手応えが続き、ヒヤヒヤしながらも己の性癖が満たされた快感に浸る時間を堪能。しばしスリリングなヤリトリを楽しみ、やがて水面を割って出たのは、まずまず満足できる体つきです。

夜遊びのシメは煮物と芋焼酎♪

「今宵はキミと晩酌や♡」

そう心躍らせつつ引き寄せたのは、25センチほどのタケノコメバルでした。本命のメバルではありませんが、これも春の旬魚です。

日本全国☆釣り行脚~『タケノコメバル』~兵庫県南あわじ市/福良漁港産 
日本全国☆釣り行脚~『タケノコメバル』~兵庫県南あわじ市/福良漁港産(C)週刊実話Web

盛り場の外れで上物を引き当てたときの〝してやったり感〟といったらもう…。淡路の夜遊びは大満足のうちに終了しました。

一応断っておきますが、ここまでのお話はすべてメバル釣りに出かけた際のお話です。あしからず。

〝筍が出回る時期が旬〟〝模様が筍に似ている〟

そんな由来で名付けられたとされるタケノコメバル。本家メバルは煮付けにして美味しい魚ですから、コイツも煮付けにして晩酌です。

さらに今回は、当地の名産品『くぎ煮』も買ってきたので、コチラも一緒に食卓に並べます。これは酒が進んでイカンですなぁ♪

日本全国☆釣り行脚~『タケノコメバル』~兵庫県南あわじ市/福良漁港産 
日本全国☆釣り行脚~『タケノコメバル』~兵庫県南あわじ市/福良漁港産(C)週刊実話Web

ホロリと骨離れのよい身をパクリと口に入れると、思ったとおりの上品なお味。根魚全般に言えることですが、厳つい見た目に反して安定の美味しさです。その合間にチビチビとつまむ『くぎ煮』がこれまた味わい深く、芋焼酎『鳴門金時』の進むことといったら…。

居並ぶオトコたちを出し抜くようにして〝してやったり〟の成果を上げ、楽しい晩酌まで堪能する最高の一日。終始、ニヤニヤが止まらない春の夜でありました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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