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ヤクザのおくりびと③喪服を脱がされ頭がへこむほど杖で殴られたヒットマン

ヤクザのおくりびと③喪服を脱がされ頭がへこむほど杖で殴られたヒットマン 
画像はイメージです。本文とは直接関係ありません(C)週刊実話
【不定期連載】 #①から読む

銃撃直後に参列の組員たちによって取り押さえられ、斎場内に連れ込まれたヒットマン2人に対するリンチは壮絶なものだった。

「俺はリンチの場面は見ていないけれど、目撃したうちの社員の話では、ヒットマンは頭がへこむほど杖で殴られていたそうだ。俺が救急車の手配をしたりなんかしている間もずっと怒声が響き渡っていた。心配だったのは、式場の棺の上に置かれた守り刀だ。本物の日本刀だから使われたら大変なことになる。すぐ社員に隠すように指示した」

抵抗する間もなく住吉会組員に組み伏せられたヒットマンは、喪服の上下を脱がされ、白いシャツが血に染まるほどの暴行を受けた。

引きはがした背広に入っていた携帯電話から稲川会の構成員であることが判明したが、いきりたつ住吉会側も混乱を極める。拳銃を取り上げた組員が「お前もヒットマンか!」と仲間に殴られ、ヒットマンの身柄を押さえた向後睦会に対し、滝野川の組員たちが「身柄を渡せ!」と押し問答になる場面まであったと伝えられる。

刑事たちも「ホシをどこにやった?」

ヒットマンの身柄が欲しかったのは、血の制裁を加えたいヤクザだけではない。警察も同じだ。当日は警視庁捜査四課(当時)と所轄署の暴力団担当の刑事が動静監視のために斎場の一角に陣取っており、銃撃は彼らも目撃していた。

眼前で銃撃事件を起こされ、しかも犯人がヤクザに始末されたとなっては警察のメンツに関わる。刑事たちは「ホシをどこにやった?」と血眼になって斎場内を探し回った。

「拉致するための車が到着するまで、ヒットマンはごみ箱に隠されていたそうだ。そして、車が来ると、服を着せ替えて集団で囲んで連れて行った。途中で刑事とすれ違うこともあったそうだけれど、囲んでいる組員が平然と『おつかれさん』なんて挨拶して、気づかれずにその場を通り過ぎたらしい。それで、1人はBMWのトランクに、もう1人はベンツの後部座席に乗せて連れ去ったそうだよ。素人ならば頭に血が上って、その場の勢いで殺しちゃうかもしれないけれど、さらっちゃうのがいかにも“プロ”だなと感じるよ」

いっときの喧騒が段々と和らいでくると、警察はヒットマンが住吉会組員によって拉致されたと気づいた。

「生きて出頭させてほしい」

警察サイドの願いは、中村を通じて西口茂男氏に伝えられることになる。

ヤクザのおくりびと#④に続く

ヤクザのおくりびと③喪服を脱がされ頭がへこむほど杖で殴られたヒットマン 

中村和男(なかむら かずお)
東京・杉並で二代続く葬儀社を営む家庭で生まれ育つ。大学卒業後、20代で自らの葬儀社『日葬祭典』を創業。1970年代に、後の住吉会総裁となる西口茂男氏の知己を得て、同氏が率いていた住吉会向後一家(当時)関連の葬儀に携わるようになる。以降、住吉会葬や関東二十日会葬まで執り行い、〝住吉会指定葬儀社〟を自負する「ヤクザのおくりびと」
ブログ『日葬祭典 回想録』

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