
一見どこにでもある普通の神社のようだが、警報音が突然鳴り響いたかと思いきや、境内を猛スピードで列車が通過する──。
全国各地には「なぜ、そんなところに?」と首をかしげたくなるような場所に線路が通っていることがある。
佐賀県西松浦郡有田町にある陶山(すえやま)神社がまさにそれで、境内を横切る形で踏切が存在し、線路1本の単線ながら特急・普通列車を合わせて通過する列車の数は1日70本以上とたいへん多い。しかも、時期にもよるが、クルーズトレインとして有名な豪華寝台列車『ななつ星in九州』が通ることもあるのだ。
特に陶山神社の踏切は、列車接近を知らせる警報音のみが鳴る仕様となっている。一般的な踏切と違って遮断器はなく、注意を促す看板が設置されているだけ。当然、細心の注意を払う必要はあるものの、鳥居越しに通過する列車が撮影でき、鉄道ファンだけでなくアマチュア写真家にも人気のスポットとして有名だ。
鳥居や灯篭、狛犬の一部は有田焼!?
そんな陶山神社が創建されたのは1658年。当時、この地を治めていた鍋島藩の指示によるものだと伝えられている。17世紀初頭、この地域で陶器の原料となる白磁の鉱脈が見つかって窯が開かれたことが、今では全国的に知られている有田焼の起源とされている。その後、この一帯は焼き物の一大生産拠点として栄え、陶工たちの崇敬を集める氏神のような存在だったのが、この神社というわけだ。
陶器街のいわば中心的な場所で、境内奥の階段を上がった先にある本殿は、小さな盆地になっている有田の町を一望できる地元の絶景ポイント。もちろん、ここからも踏切を見下ろすことができ、カメラを構えている者も多い。

なお、焼き物の町ということもあって、神社の境内にある鳥居や灯篭、狛犬の一部はなんと有田焼。そもそも陶器製のものが滅多にないだけに、たいへんご利益がありそうだ。
実際、地元でも多くの旅行客が訪れる人気観光スポットになっている。もし有田に行く機会があれば、立ち寄ってみて損はないだろう。
【日本全国「不思議な駅」~その②~からの続き(#②を読む)(#①を読む)】
あわせて読みたい
- [New] 『護られなかった者たちへ』/10月1日(金)より全国公開〜やくみつる☆シネマ小言主義
- [New] 『「全裸監督」の修羅場学』著者:村西とおる〜話題の1冊☆著者インタビュー
- [New] 『死る旅』著者:松原タニシ〜話題の1冊☆著者インタビュー
- [人気] 『スーパー戦闘 純烈ジャー』/9月10日(金)より全国公開〜LiLiCo☆肉食シネマ
- [人気] 『知らないと恥をかく 世界の大問題12 世界のリーダー、決断の行方』著者:池上彰〜話題の1冊☆著者インタビュー
- [話題] 『マイ・ダディ』/9月23日(木)より全国公開〜LiLiCo☆肉食シネマ
- [話題] 『サメ映画大全』著者:知的風ハット~話題の1冊☆著者インタビュー
- [話題] 『フリー・ガイ』/8月13日(金)より全国公開中~LiLiCo☆肉食シネマ