
越後平野の田園地帯に突如として現れる、UFOのような楕円形の建造物──。まるで「1つ目」のようでもあり、機動戦士ガンダムに登場するジオン軍のモビルスーツっぽくも見える。
これは新潟県上越市の北越急行ほくほく線にある、くびき駅。UFO多発地帯でもなければ宇宙とも何の縁もないが、「珍駅舎」としてメディアでたびたび取り上げられている名物駅だ。
周囲一帯には田んぼが広がるが、駅周辺には住宅も多く、1日の利用客は137人(※国土交通省・平成30年度『国土数値情報』より)。上下線ともに1時間に1~2本の列車が停車し、田舎ではあるかもしれないが、北海道の糠南駅のような秘境ではない。

ちなみに、設計したのは世界的建築家の毛綱毅曠氏。手がけた建築物には独創的なものが多く、この駅も彼の作品らしい前衛的な形状になっている。
レトロになれない近未来的建造物が老朽化
このような駅舎にした理由について、駅構内にある説明書のプレートには、《決して大きくない建物にボリューム感を持たせ、従来の駅には無いエネルギーを発して、その存在感をアピールするため》と書かれている。確かに、大きさの割に内部は広々としており、見た目のインパクトは唯一無二。鉄道好きだけでなく有名建築家による駅舎ということで、建築マニアの間でも大変有名な場所のようだ。
だが、1997年の開業に合わせて建てられた駅舎も、すでに24年が経過して老朽化が進む。外壁の一部には錆びで変色や剥がれている箇所もあり、駅舎内は清掃が行き届いているものの、外観に関しては改修などメンテナンスが行われている様子は今のところない。
一般の建物であれば、古くなっても「レトロ駅舎」として人気を集めるケースもある。しかし、奇抜な見た目ゆえに、年月を経て風合いが増すような感じでもなく、以前のような近未来的な雰囲気は少し色あせつつある。
とはいえ、こんな宇宙っぽい造りの駅舎は全国広しといえど、このくびき駅だけ。訪れる価値は十分あるだろう。
【日本全国「不思議な駅」~その③~に続く(#③を読む)】
あわせて読みたい
- [New] 『護られなかった者たちへ』/10月1日(金)より全国公開〜やくみつる☆シネマ小言主義
- [New] 『「全裸監督」の修羅場学』著者:村西とおる〜話題の1冊☆著者インタビュー
- [New] 『死る旅』著者:松原タニシ〜話題の1冊☆著者インタビュー
- [人気] 『スーパー戦闘 純烈ジャー』/9月10日(金)より全国公開〜LiLiCo☆肉食シネマ
- [人気] 『知らないと恥をかく 世界の大問題12 世界のリーダー、決断の行方』著者:池上彰〜話題の1冊☆著者インタビュー
- [話題] 『マイ・ダディ』/9月23日(木)より全国公開〜LiLiCo☆肉食シネマ
- [話題] 『サメ映画大全』著者:知的風ハット~話題の1冊☆著者インタビュー
- [話題] 『フリー・ガイ』/8月13日(金)より全国公開中~LiLiCo☆肉食シネマ