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ビートたけしと銀座クラブ四千万豪遊!?~島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』

島田洋七
島田洋七 (C)週刊実話Web

漫才ブームの時、たけしの出した本がものすごく売れたんですよ。

「洋七もいまだったら売れるぞ、本を出せ」と出版社の人を紹介してくれて、銀座の高級クラブへ飲みに連れて行ってもらったんです。

いつも出版社の人にご馳走してもらっていたから、今度は2人の実力で飲みに行ってみようとなったんですけど、銀座のクラブは高いらしいということしか分からない。出版社の人はいつも会社のツケで払っているから、こっちは金額がいくらなのか知らないわけでしょ。

給料日にたけしが「銀座へ行くから2000万円持ってこい」と。「2000万円もせえへんやろ」て言ったら、「それくらいいるだろ?」って。俺はヴィトンのバッグに2000万円、たけしは百貨店の紙袋に2000万円入れて、ある人に紹介してもらったクラブへ行ったんです。

入口で「お荷物をお預かりします」と言われたんだけど、盗まれたら怖いでしょ。「結構です」と答えたら変な目で見られました。そのまま席に通されて、2人とも小脇に2000万円を抱えながら、飲み始めたんです。ホステスさんも「なんで2人ともカバンを抱えているんですか」と聞くから、「忘れたらアカンもんだから、自分で持っています」と返すと、不思議そうな顔をしていましたよ。

高級クラブはボトルを入れるでしょ。ボーイさんから当時流行っていたレミー・マルタンを勧められて、たけしに「レミーって知ってるか?」と聞くと、「レミーなんてねえちゃんは知らねえ」と言うし、ヘネシーを勧められたら今度は「ヘネシーなんて外人も知らねえ」と。俺たちは高い酒なんて飲んだことないから、ボーイさんからボトルの名前を言われても分からなかったんですよ。知っているサントリーのリザーブを頼んだら、そのクラブにはリザーブは置いてなかった。

「寿司を頼むと金持ちに見えるらしいぞ」

とにかく、いくらするかが心配で20分くらい経ってから、ママに「いま帰ったらいくらですか?」って聞いたら、「こういうクラブは時間制じゃないんです。1時間半はいてください」と言われて安心しました。それまで時間制の安い店でしか飲んだことがないから、高級クラブのシステムを知らなかったんですよ。

また、たけしが「洋七、こういう店では寿司を頼むと金持ちに見えるらしいぞ」って言うから、ボーイさんを呼んで、ホステスさんの分も含め5人分の寿司を頼んだんです。たけしは「寿司は並じゃなくて、上ね、上だよ」と大きな声で、他のお客さんに聞こえるように言ったら、ピアノを弾いていた黒人が「お呼びですか?」って席へやって来た。その人の名前がジョーだったんです(笑)。

結局、この銀座クラブの会計は14万円くらいだった。30年以上前の話だし、ママは安くしてくれたんでしょうね。たけしに「2000万円もせえへんやん」と言うと、持っていた週刊誌を指差して「ここには200万円て書いてあるぞ」と。

よくよくその記事を読んでみると、銀座のホステスさんの中には〝月に200万円くらい稼ぐ人もいる〟と書いてあった。たけしはそれを1回200万円すると勘違いしていたんです。

島田洋七
1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。

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