エンタメ

蝶野正洋『黒の履歴書』~プロレス的なアメリカ大統領選挙

蝶野正洋 
蝶野正洋 (C)週刊実話Web

アメリカ大統領選挙が11月3日に迫っている。今回はかなりの接戦になりそうで全米各地で激しい選挙戦が展開されているが、現職のトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したというニュースが流れた。

これは選挙戦に大きな影響があるなと思ったら、トランプさんは1週間ほどでコロナから回復。すばやく選挙キャンペーンに復帰して、タフさをアピールした。

なんだかドラマティックな展開だけど、トランプさんのこれまでの言動からすると、どこまで本当なのか分からなくなってしまうよ。

4年に一度の大統領選挙はアメリカだけじゃなく、世界各国の運命も左右するような重要イベント。争点となる問題も山積みなのに、トランプさんは相変わらずパフォーマンス重視というか、ショーマンシップに徹しているように見える。

やっぱり、アメリカは政治もプロレス的なんだよ。お互いのウイークポイントを攻め合って、相手の攻撃には効いてないアピール。そうやって観客を巻き込んではムードを作って、自らの勝利に近づけていく…。大統領選を見てると、アメリカでプロレスが発展した理由がよく分かるな。

そういう意味では、トランプさんのほうが技の効かせ方も、マイクパフォーマンスも、バイデンさんより一枚上手だよ。バイデンさんは正当派の顔をしているというか、政治家としては正しいんだけど、ちょっと面白くないタイプに見える。対するトランプさんは感情の起伏が分かりやすいし、言動も大げさ。それに、アメリカ的な資本主義の権化というか、勝った者だけが生き残ればいいという思想がある。

今までとは違う「ウィズ・コロナ」の世界

これは突っ込みどころがたくさんあることなんだけど、弱い者を切り捨てて、勝ち組だけで世界を回していこうっていうのは、ある種の人間たちの本音だろうし、こうしたトランプさんの考え方にこっそり賛同している人も多いと思う。

それに加えて、勝つためには手段を選ばないところも、ある種の魅力なのかもしれない。

プロレスでいえば、レフェリーのブラインドをついて金的を入れたり、さんざんダーティーなことをやりながら、最後にスリーカウントを取って勝つ。観客もブーイングはするけれど、勝ったという事実は認めざるを得ないからね。

だから、今回の騒動もトランプさんの描いたアングルといってしまえばそれまでなんだけど、それで、本当に情勢が変わる可能性があるのが「ウィズ・コロナ」の世界なんだよ。

パ・リーグのペナントレースの首位争いを演じていた千葉ロッテマリーンズの一軍選手からコロナ感染が出てしまって、選手数名が戦列を離れることになってしまった。これも予想外だったけど、ウィズ・コロナ時代にスポーツや競技をしていくということは、常にありえる事態ともいえる。

ただ、これが半年前に起こっていたら、リーグ全体がストップしているはず。つまり、今はコロナに対しての認知が進んでいて、どこまで対策ができて、どう怖がればいいかということが、分かってきているんだと思う。

まぁ、トランプさんを見てたら、コロナなんてたいしたことないって思えてくるから、その加減が難しいところなんだけどね。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

あわせて読みたい