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小柳ルミ子インタビュー~7年ぶり新曲と“アラ古希”としての決意

小柳ルミ子インタビュー~7年ぶり新曲と“アラ古希”としての決意
小柳ルミ子インタビュー~7年ぶり新曲と“アラ古希”としての決意 (C)週刊実話Web

昨年、芸能生活50周年を迎えた小柳ルミ子。節目の年がコロナ禍と重なり、一時は「引退」を考えたほどだという。それを思いとどまらせたのは『サザンオールスターズ』桑田佳祐のコラムだった。氏による称賛コメントに号泣、奮起した小柳はボイストレーニングを再開。そして今、4月21日に発売されたばかりの歌手デビュー50周年記念シングル『深夜零時、乱れ心』(徳間ジャパンコミュニケーションズ)に、一切の情熱を注ぐ。新曲への想い、アイドル時代の苦悩、そしてアラ古希としての決意などを聞いた――。

――実に7年ぶりの新曲。記念の曲だけに、思い入れも強いと思います。

小柳 そうですね。一口で50年と言っても、凄い年月。だから今回は、等身大の自分を表現したいと思い、曲選びから振り付け、衣装まで、強いこだわりを持ってセルフプロデュースしました。作曲の方には「私の今までのイメージを全部忘れてください」とお願いしたんです。今のあなたが感じる小柳ルミ子に、どういう曲を歌わせたいか。どういう詩を歌ってほしいか。イメージのままに書いてくださいと。そうして集まった約30曲の中から、2曲を私とスタッフで選びました。

――タイトルが『深夜零時、乱れ心』。アップテンポの曲で、歌詞を読むと小悪魔的というか、奔放な女性像が浮かんできます。イメージしているのは、どんな女性ですか?

小柳 「常に現役のオンナ」ですね。男が放っておかないし、男を上手に扱うこともできる。でも、そこにはちゃんと純粋な情熱がある大人の女性…かな。

――男性と逢った直後、別の男性に逢いに行くシーンがある。二股、三股みたいなことですよね?

小柳 そうなんです。

――これが、今のルミ子さんにピッタリだと!?(笑)

小柳 深く考える前にビビッときたんです。これなら今の私の本領を発揮できる、という血が騒いだ。曲を聞いた瞬間、自分がステージで歌っている絵が見えましたもん。テレビで歌う時はもちろん、ステージでも限界ギリギリまで、エロカッコよくやろうと思います。

――なかなかにかっこいい小柳ルミ子さんですね。

小柳 そこで中途半端にしてはダメだと思うんです。日本のアーティストって、中途半端にするから見ている方が照れ臭くなるんです。そこを突き破れるのは、私くらいしかいない。今の私だからこそ、それができると思うんです。

この振り幅が小柳ルミ子!

新曲『深夜零時、乱れ心』ジャケット

――衣装は脚線美を強調した網タイツに超ミニスカ。とてもアラ古希とは思えない妖艶さです。

小柳 ずいぶんと考えました。昔からのファンの方にとっての小柳ルミ子は、どこまで行っても清純で『瀬戸の花嫁』に代表される日本的なイメージじゃないですか。でも、実際のステージはそうじゃない。セクシーで奇抜な衣装も着るし、非常にアクティブなんです。そういう私を、この新曲でお見せしたかった。なので、今回はドレスじゃないなと。絶対に脚を見せたい、動きやすくてセクシーで、エロカッコいい衣装にしたかったんですよね。

――それでいて、カップリング曲『言葉にならない』は一転して落ち着いたバラード。2つの曲はイメージが全然違います。

小柳 それが私らしさなんですよ。片や非常に悪女チックで男を手玉に取るような女。片やジンとくるような切ない女心を切々と歌う。この振り幅が小柳ルミ子だと思うんですよね。

――ルミ子さんはコロナで自粛中の間、どんな人と連絡を取っていましたか?

小柳 芸能界で今一番近くに感じるのは高橋真梨子さんかな。よく連絡を取りながら近況を話しています。LINEでマメにやりとりするのは藤あや子さん、伍代夏子さん、天童よしみさん、川中美幸さん…なぜか演歌の人が多いですね。松田聖子さんとは彼女のデビュー以来、ずっと友だちですよ。妹分みたいで本当に可愛いの。亡くなられた聖子さんのお父様からは「法子(聖子の本名)のお姉さんになってくれ」と頼まれたくらい、家族ぐるみのお付き合いなんです。みなさんとは「コロナが終息したら食事に行こうね」「お花見に行きたいね」と話していたのに、それも叶わなくて。本当に辛いですね。

――コロナ禍で仕事がなくなり、一時は引退も考えたと聞きました。それを覆してくれたのが桑田佳祐さんのコラム。一部を抜粋させてもらうと、「歌がうまい、エロい、踊りが上手い、芝居が上手い、脱げる…最強の歌姫だ」と絶賛でした。小誌でもそれを受けて、「小柳ルミ子にアラ古希ヌード待望論」という記事を書かせてもらいました。

小柳 あっははは。本当ですか?

――もしも、そういうオファーがあったらどうしますか?

小柳 それはもう、ないですよ。あったとしてもお断りすると思います。

デビュー当時のドレスは今でもOK

――磨き抜かれたボディー。待ち望んでいるファンも多いと思いますが。

小柳 ブログで十分に出しているし、そこまでしたらイタイですよ。

――そういえば、自粛期間中に自宅でのトレーニング動画をSNSにアップしてバズッてましたね。

小柳 はい。色んなアスリートの方がそういう動画をアップしていたので、私もインスタグラムとブログにアップしてみたんです。自宅でやっている日常の運動なんですが、それまでは動画を撮ってくれる人がいなかったから、アップしようなんて考えてもみなかったんですけどね。スタッフに撮ってもらいアップしたら、初めてインスタの閲覧数が22万まで行ったんです。それがとっても嬉しくて。

――奇跡の脚線美でした。

小柳 ありがとうございます。でも、実は今まであんまり脚は出してこなかったんですよ。そういう写真もあんまり撮らなかったところ、友人たちから「せっかく綺麗なんだから出せばいいのに」と言われて、その気になって出すようになったんです。ちなみに、ウエストとかお腹周りは全然変わってなくて、デビュー当時のドレスは今でもちゃんと入ります。

――それは凄い。一番経済的ですね。

小柳 そうですよぉ、衣装なんてすごく高いんですから。私は衣装に体を合わせてる、ということです。

――トレーニングはいつ、どんな時にするんですか?

小柳 朝はやらないです。お風呂に入った後など筋肉がほぐれている時。私は自分の家がジムだと思っているので、器具は使いません。「ながら運動」なので、例えば荷物をリビングに運ぶ時に1回で済むところをわざと3回に分けたり、テレビを見ながらストレッチをしたり。今日も美容院でシャンプーしてもらいながら、足を上げて腹筋してました。そういう細かいことの積み重ねで健康でいられるんじゃないかしら?

――SNSで言えば、アメブロの「大御所ブログナンバーワン芸能人」だそうですね。失礼ながら、とても上手に使いこなされている。

小柳 電気系は面倒くさくって分からないことも多いんですけど、例えばスマホひとつにしても、ブログやインスタをやる以上は使いこなせて機能を利用しない手はないじゃないですか。どうしたらもっと楽しいものになるんだろう、こういう書体にしたらどうだろうと、日々研究しています。それが、老けない要因かもしれないですね。

新曲でもう一花咲かせたい!

小柳は昨年9月、50周年を記念した著書『もう68歳と思うのか、まだ68歳と考えるのか』(徳間書店)を上梓した。芸能界のこと、故志村けんさんとの思い出、大人の恋愛、老後などについて語り尽くしている。自叙伝とも言える内容で、大きな反響を呼んだ。

――この本で一番書きたかったことは何ですか?

小柳 タイトルにもあるように、まずは同年代の人に向けて書いています。例えば、コロナという思いもよらない事態になったとき、どうポジティブに生きるのか。本人の意識の持ち方次第でプラスにもなるしマイナスにもなる…それを一番言いたかったですね。もう68なのか、まだ68なのか。私は今までどんな障害や問題が起きても、逃げずに来たんです。だからこそ、68まで頑張ってこられたのかなと思う。それは誰が手助けしてくれたわけじゃなく、自分の意識なんですよね。「もう私も年だから」と諦めてしまったら、自分で限界を決めちゃってる。私は後悔しないで一生を終えたいので、まだまだ好奇心をもっていろんなことにチャレンジしていきますよ。

――例えばいま、具体的にやりたいことは?

小柳 まずは、この新曲で「もう一花咲かせたい」と思っています。曲を聴いた人から「ああそうだ、ルミ子さんがいた。ミュージカルをお願いしよう」という話が来るかもしれない。芝居もやりたいし、ドラマもやりたい、また本も出したいです。

――最後に、新三人娘(天地真理・南沙織)と呼ばれていたアイドル時代の思い出を。今、当時のことを思うとどうですか?

小柳 う~ん。敷かれたレールの上をただ走っている、という感じでしたね。もちろん、出す曲出す曲がヒットして、たくさんの賞もいただけて感謝はしています。でも、歌番組は毎日のようにあるのに、誰とも仲良くなれる時間すらないんです。当時のマネジャーは、担当歌手の歌をきちんと歌えないとダメだったんですよ。なぜなら、音合わせやカメリハを私たちの代理でやるから。ジュリー(沢田研二)のマネジャーさんなんて、振り付きでノリノリでやってましたね。それはそれで懐かしい思い出ですけど。

小柳ルミ子◆こやなぎるみこ 宝塚音楽学校を首席で卒業。NHK連続テレビ小説『虹』で女優デビュー後、1971年『わたしの城下町』で歌手デビュー。同年、日本レコード大賞最優秀新人賞受賞。その後も『瀬戸の花嫁』『お久しぶりね』等ヒット曲を連発する。近年は歌手、ダンサー、女優に加えサッカー観戦やエッセイでも活躍。
ブログhttps://ameblo.jp/rumiko-koyanagi/ インスタグラムrumiko_koyanagi

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