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北朝鮮の東京五輪不参加で韓国・文在寅大統領いよいよ「死に体」トドメ…

韓国・文在寅大統領
韓国・文在寅大統領(画像)Truba7113 / Shutterstock.com

去る4月7日、韓国大統領選挙(2022年3月)の前哨戦としても注目されたソウル、釜山の両市長選挙が行われ、いずれも野党「国民の力」候補が与党「共に民主党」候補に圧勝した。

今回の選挙は両市とも、与党の前市長がセクハラ問題で退場したことによる補欠選挙だったが、文在寅政権の不動産政策の失敗や韓国土地住宅公社(LH)の不正投機疑惑など、政権の無能や腐敗が最も大きな争点となっていた。

「ソウル市長選に与党から立候補した朴映宣氏(前中小ベンチャー企業部長官)は、夫が東京・靖国神社の近くに高級マンションを所有していたことが発覚。しかも、選挙に出るために申告した財産目録から、このマンションを外していました。朴氏は文政権下で、声高に『日本のものを買うな、日本に行くな』と散々あおりながら、自身はシレッと東京に資産を持っていたわけです」(ソウル在住の日本人ライター)

与党が敗北した原因は、文政権が口先では「公正と正義」を売りにしながら、裏では「不正と不正義」を働くという〝二枚舌〟が明るみに出たことにある。

とりわけ3月には、韓国大統領府で経済政策などを担当する金尚祖政策室長が、不動産価格抑制策の施行直前に、自分に有利な不動産取引を行った疑惑で更迭されている。

「金尚祖氏は学者時代、富の独占だとして辛らつな財閥批判を繰り広げ、〝財閥スナイパー〟と畏怖されていました。しかし、この人物も〝ネロナムブル〟の典型と言えるでしょう」(韓国ウオッチャー)

対北服従政策に民意は『ノー』

「ネロナムブル」とは米紙ニューヨーク・タイムズが、韓国語の発音にならって文政権を批判した造語である。「私がすればロマンス、他人がすれば不倫(ブルリュン)」という意味で、文政権の〝独善排他性〟を指摘したものだ。

文氏を操っているのは、北朝鮮の金一族こそが朝鮮半島の代表政権だと信奉する主体思想派(チュチェ派)で、まさに独善排他性の権化のような集団だ。

「主体思想派の象徴的な存在は、北朝鮮の支援を受けている『日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)』などの反日団体です。彼らは北朝鮮の実態を無視して、偏向した理念に基づいた対北服従政策や反日米政策を行ってきましたが、民意はこうした与党に『ノー』の審判を下したのです」(国際ジャーナリスト)

また、文氏自身にも土地疑惑が浮上している。

「文氏が引退後の私邸用として、慶尚南道梁山市の土地を取得していたのですが、昨年9月ごろ、野党はこの土地の約48%が農地であることを確認したとして、違法性を指摘しました。文氏と金正淑夫人は、この農地を買い入れるため、自らの営農歴を11年と偽り、暇を見つけては農業をしていると弁明した。これで批判を一蹴しようとしたのですが、野党からは『単なるガーデニング』と揶揄されています」(同)

過去の大統領選挙の流れを見ると、ソウル市長選挙の結果が多大な影響を及ぼしている。勝利した野党は来年3月の大統領選挙に向けて弾みをつけたが、一方で文氏は、残り任期の約1年を〝死に体〟としてすごすハメになった。

“女帝”金与正の影がチラつく不参加決定

文政権をさらに追い詰めたのが、北朝鮮の東京五輪不参加表明だ。文政権は五輪を手がかりとして、日米韓朝4カ国の首脳会議を開き、北朝鮮との関係改善を目指したいと提案していた。

「北朝鮮は、五輪不参加の理由を『新型コロナ感染症から選手を保護するため』としていますが、そもそも国民を奴隷化しておきながら、選手の保護とは笑止千万です。不参加を決めた本当の理由は、たとえ参加してもメダルを取れる可能性が限りなくゼロに近いからで、『参加することに意義がある』といった価値観は、かの国には当てはまりません。五輪を含む国際スポーツ大会で、北朝鮮の選手がメダルを取り、国家の威信を世界にアピールできないなら、選手団を派遣する意味がないのです」(北朝鮮ウオッチャー)

スポーツと政治を常にリンクさせてきた北朝鮮にとっては、これは当然の決定ともいえる。北朝鮮では、五輪参加資格を有する「民族代表スポーツ選手」の場合、国民が食糧不足で飢餓状況にあっても、国家から生活物資を優遇されてきた。

「北朝鮮国営の『朝鮮中央通信』は昨年1月24日、同国の女子卓球団体チームがポルトガルで行われた大会で好成績を収め、東京五輪への参加資格を得たと報道していました。少なくともその時点までは、五輪参加に関心を持っていたわけで、なぜひっくり返ったか。そこに金与正氏の影がチラつくのです」(同)

実は与正氏の肩書が、党組織指導部副部長から党宣伝扇動部副部長に代わっていることが明らかになった。同部は、国内での思想統制や対外的な政治宣伝、心理戦などを担当する部署で、同国のあらゆるメディアの運営方針を決定している。

「つまり、スポーツ好きの金正恩総書記を差し置いて、復権を果たした与正氏が五輪不参加を決めたのではないでしょうか」(同)

哀れ、またしても文氏は、北朝鮮の〝女帝〟に蹴飛ばされたようだ。
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