新型コロナウイルスの感染拡大で従来のコミュニケーションが激減する中、怪しげな投資話を持ち掛けてくる悪徳マルチ商法が急増しているという。
都内在住の60代の男性は、定年退職後に再雇用されたものの収入は半減。老後資金に不安を抱える日々を送っていたが、突然、昔の知人から連絡が来た。
「LINEでリモート飲み会をしようと、学生時代の先輩から連絡があり、昔話に花を咲かせました。何度かやり取りするうちに、住まいや年収、将来設計を執拗に聞かれ、酒に酔った勢いで馬鹿正直に話してしまった」
すると、途端に不安をあおられるようになり、元本保証で儲かる話があるとセミナーに誘われた。つい参加すると、そこでは会長と呼ばれる人が、いかに仮想通貨の需要があるかを雄弁に語っていた。
「ニートからビットコインで〝億り人〟になったという20代の男性や、ママ友から紹介されてFX取引で資産を築いた主婦など、さまざまな世代の人が成功体験を語り、自分もその気になってしまいました」
ダマす方も労力を使わないビデオ通話勧誘
最初は数十万円から始めて毎月配当が入金されたが、数カ月で滞るようになり、事実上の倒産。老後資金の1000万円が吹き飛んでしまったと、後悔の念をにじませる。
また、最近ではビデオ通話を悪用する「リモート勧誘」が急増している。40代の男性会社員は、ある日、同級生から会社の近くに来ていると連絡があり、終業後に喫茶店に呼び出された。
まさか勧誘されるとは思わなかったが、突然「知り合いにすごい人がいて人生観が変わるから話だけ聞いて」と、無理やり見ず知らずの男女とビデオ通話をさせられ、プレゼンを聞く羽目に…。しつこい勧誘を断りきれず、同級生が持参していた書類にサインしてしまったそうだ。
「ビデオ通話での勧誘は、ダマす方も労力を使わず稼げるから、被害者が増える一方です」(マルチ商法に詳しい弁護士)
一度詐欺に引っ掛かると、顧客情報が出回り再度狙われるという。「飛んで火に入る夏の虫」とならぬよう、うまい話には要注意だ。
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