事故物件の闇…コロナ禍を背景に増加する不動産の問題とは

コロナ禍を背景に、失業率の上昇や収入の減少など景気が下振れする中、いわゆる「事故物件」の増加が不動産業者や賃貸オーナーを悩ませているという。

事故物件とは、自殺や殺人、孤独死など、建物内で人が亡くなった物件とされているが、法律上で明確な定義はなく、不動産会社によって事故物件に該当するかどうかが判断されている。

「年間1万5000戸以上の物件で、自殺や殺人事件が発生していますが、そのすべてが事故物件として表面化しているわけではありません。隠蔽の事実も確かにあります」(不動産業者)

近年は単身で暮らす高齢者が増加したため、発見が遅れた孤独死も「心理的瑕疵」に該当するとして、事故物件扱いになるケースが増えているという。

“事故物件”をごまかす不動産・悪徳業者に注意!

「高齢者は、暖かい部屋から寒い風呂場やトイレに移動した際、温度差で心臓や血管に疾患が起こることが多く、年間で約5000人が亡くなっています」(救急病院医師)

また、長期化するコロナ禍の影響で、今年は自殺者も増加傾向にある。

「コロナ禍で巣ごもり生活を余儀なくされ、ストレスを発散できず、精神的に追い詰められる人も多い。自身でも気付かぬうちに〝コロナ鬱〟を患っていることがあります」(精神科医)

事故物件は不動産価値が下落するため、悪質な不動産業者や賃貸オーナーは、借主や買主に気付かれないように事故物件を処分することもある。

知人の名義を使って複数の入居者がいたように偽るほか、1~2年限定の定期借家契約で貸し出すと、次に入居する住民に告知しなくて済む。このように、故意に隠すケースもあるから注意が必要だ。

悪徳業者にダマされないよう、くれぐれも不動産取引は慎重に!

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