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『吉原炎上』『嫉妬』…美し過ぎる“レズビアン映画”誌上再現~Part3~

『吉原炎上』
『吉原炎上』

艶っぽいレズビアンシーンが見たいなら、吉原遊郭の花魁たちの艶姿がたっぷり見られる『吉原炎上』(87年・東映)がいい。斎藤真一の同名小説の映画化で、明治末の吉原遊郭に生きた花魁5人の波瀾万丈の世界を描いている。

主演の名取裕子をはじめ、かたせ梨乃、藤真利子、仁支川峰子(西川峰子)ら、当時の有名女優の大胆なヌードが話題を呼んだが、特に名取裕子と二宮さよ子とのシーンが見もの。何度でも見直したいほどだ。

吉原に売られたばかりの名取は、最初の客と事を始めるために部屋に入るが、羞恥心からそこを飛び出し、裸足で逃げ出す。物置小屋に隠れていたものの、店の者に捕まり連れ戻されて、体を布団でグルグル巻きにされてしまう。そこに花魁の筆頭・二宮が現れ、布団の紐をほどき、自らの体でもって廓の作法を教えていく――。

「シーンはわずか4分足らずですが、その間、映画館の場内に異様な雰囲気が漂ったのを覚えています。見てはいけないものを、見てしまったというのかな。名取は最初、CMの仕事に響くかもしれないからと出演するのを迷っていたそうですが、終わってからは満足気でした。実際、1年後には舞台化され、そちらの主演も務めましたからね」(映画関係者)

撮影現場には異様な雰囲気が漂って…

また、大物女優2人による、知られざるレズビアン映画もある。岩下志麻と浅丘ルリ子が共演した、71年の『嫉妬』(松竹)だ。藤本義一の同名小説の映画化で、夫の心中死に疑問を抱いた未亡人が、真相を探るべく一緒に死に損なった女性に接近し、復讐を果たそうとするストーリー。

未亡人の岩下は変名を使って、夫の浮気相手だった浅丘が経営するクラブに勤め始める。仕事をしてみて分かったのは、地味な団地妻の自分にはない、浅丘の洗練された美しさと、人をとりこにさせる会話の巧さ。それによって、岩下は嫉妬心とライバル心を募らせていく。

ある日、岩下は泥酔した浅丘を家まで送り、フラフラの彼女を抱きかかえて寝室まで運び込む。そして、ベッドに倒れ込んだ浅丘の足袋を脱がせ、着物の帯を緩めて介抱する。水が欲しいと喘ぐ浅丘に、岩下はレモンの汁を注いだ水をコップで飲ませようとするが、それを浅丘は嫌がり、潤んだ瞳で物欲しそうに口を開けて、岩下に口移しをねだる。岩下は一瞬ひるんでみせるが、気を取り直してコップの水を飲み、口に含んだ水を浅丘に飲ませる。そうして2人は、しばらく抱き合ったまま互いの唇を重ね合わせて――。

「日本を代表する女優がレズビアンシーンを演じるということで、現場には異様な雰囲気が漂っていました。もっとも、この頃の彼女たちは、エロチックなシーンにも積極的に取り組んでいましたね。岩下は『影の車』(70年)や『内海の輪』(71年)で、浅丘は『告白的女優』(71年)で、かなり激しいベッドシーンを演じている。だから、彼女たちはレズビアンシーンでもドギマギしていませんでした。けっこう楽しんで演じていましたよ」(同・関係者)

~Part4に続く~

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