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『痛みの悩み相談室』~関節内注射後の発熱と腫れ(監修/井尻慎一郎先生)

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新型コロナウイルスのワクチン接種では、ごく稀に発熱や腫れるといった副反応が出る場合があります。直接、薬剤を関節に注入する関節内注射でも副反応があり、最も重大なものは、注射によって細菌が関節に入ってしまう「医原性化膿性関節炎」です。国内外の文献を見ると、関節内注射後の感染率は3000回から10万回に1回の割合になっています。

関節の感染が怖いのは、細菌を倒す役割を担う白血球が関節内にはほとんど存在しないからです。また、関節内には血管が少ないので、抗生剤を服用しても点滴しても、なかなか関節内には到達できません。これらの理由から関節が感染すると治療が難しく、重症化しやすいのです。

肌が荒れている人も注意

関節に細菌が入るのを防ぐため、関節内注射では念入りに消毒をします。特に新型コロナウイルスで重症化のリスクが高い糖尿病の方は、感染に弱いので注意が必要です。そのほか、抗がん剤や免疫抑制剤を使っている人、肌が荒れている人も感染しやすいです。ただし、感染する確率は非常に低いので、整形外科クリニックなどで関節内注射を受ける際は、さほど神経質にならなくても大丈夫です。

関節内注射を受けてから数日以内に関節が腫れて痛む場合は、感染の疑いがあります。そのため、なるべく早く注射をしてもらった医師に連絡する必要があります。対処が早いほど治しやすいので、早急に医師へ相談しましょう。

監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPは下記。
https://ijiri.jp

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