『パーム・スプリングス』
監督/マックス・バーバコウ
出演/アンディ・サムバーグ、クリスティン・ミリオティ、ピーター・ギャラガー、J・K・シモンズ
配給/プレシディオ
コロナ禍の影響で、いまだ会社に行けない方も多いかと思います。友人に会うことに対しても自粛が求められ、シングルの方は恋愛もなかなかできない状況。こういう時って、悲しくてストレスが溜まりますが、世界がこんな風になる前までは、恋愛や仕事などが自由にできた分、大失敗や後悔することも多かったはず。
今回、ご紹介するのは、日々の生活の大切さを気付かせてくれる、無名の監督&脚本コンビの作品。2020年に、サンダンス映画祭で上映されるや、同映画祭史上最高額で配給権が売買されて、7月には米Huluでネット配信し、サービス史上最も視聴された映画になりました。また、映画館が閉まっていたアメリカでは、限定ドライブインシアターで公開され、映画が見たくてたまらなかった観客を沸かせたそうです。
そんな本作は、パーム・スプリングスを舞台にしたラブコメディー。妹の結婚式で、いまいち幸せな気分になれなかったサラ(クリスティン・ミリオティ)。パーティーでお酒をグビグビ飲んで、お調子者のナイルズ(アンディ・サムバーグ)が、砂漠でその場だけのいい関係になりそうになる。ところが、ナイルズはいきなり現れた迷彩服の男に、矢で肩を射抜かれてしまいます。這いながら近くの洞窟に入って行くナイルズ。来るなと言われても、サラは言うことを聞かず一緒に入ります。
妙に納得してしまう“オチ”
そこで眠りに落ちた2人。目覚めると、ナント、すごしたばかりの結婚式の朝です。すべてが1回経験した日と同じように進んでいく。いわゆるタイムループに閉じ込められてしまったのでした。もちろん、〝こんな人生は嫌!〟と、サラはいろんな方法で命を絶とうとする。だけど、同じ日にまた目覚めてしまうのです。
でも、ここからが面白い。開き直った2人は、毎日を遊びながら暮らし始めるんです。この生活が楽しいし、同じように暮らしているつもりでも、同じ日を経験することによって、今まで気にもとめなかった事への意味を感じるようになる。
しかし、タイムループが題材の映画の一番大切なものって、オチですよね。〝夢オチ?〟〝宇宙人オチ?〟〝オチなし?〟それがね~、ここでは書けませんが、妙に納得してしまうんです。ちゃらんぽらんに生きるなんて、もったいない! 何が、誰が、本当に大切なのかが見えてきます。
ちなみに、迷彩服を着ている謎の男の役は『セッション』で鬼教師を演じたJ・K・シモンズ。雰囲気が締まりますよ~!
LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
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