春場所で4場所ぶり3回目の優勝を遂げた関脇・照ノ富士が、悲願の大関復帰を果たした。序二段まで陥落した力士が、再び大関にカムバックするのは史上初のこと。3月31日、都内の伊勢ケ濱部屋に相撲協会からの使者を迎えた照ノ富士は、「謹んでお受けいたします」という短い口上に万感の思いを込めた。
両ひざの故障や内臓疾患に苦しみ、引退まで考えた日々を過ごしただけに、昇進の喜びもひとしおだった。師匠の伊勢ケ濱親方(元横綱・旭富士)も、その努力を絶賛してやまない。
「相撲界全体に、諦めないで頑張ればやれるということを示した。各力士のお手本だ」
しかし、照ノ富士本人はもちろん、周囲もこれで満足してはいない。照ノ富士は「まだ経験したことのないところ(横綱)もあるし、だからこそ1回でも経験したい」と、早くも綱取りに意欲を見せている。
すでに鶴竜は引退し、白鵬も故障休場中。加えて貴景勝、朝乃山、正代の先輩格3大関もピリッとせず、照ノ富士が最も横綱に近いとみる親方衆は多い。
いまだ完治にはほど遠い状態
協会からの使者を務めた高島理事(元関脇・高望山)も、「(春場所の)3大関の状態を見ると、照ノ富士のほうが力は1つ上かな」と期待を募らせる。
しかし、照ノ富士は危険な〝爆弾〟を抱えている。
「ひざですね。いま、白鵬が苦しんでいるのを見ても分かるように、ひざのケガは力士にとって致命傷になりやすい。照ノ富士も両ひざを故障し、いまだ完治にはほど遠い状態です」(スポーツ紙記者)
実は春場所でも、3敗目を喫した10日目の志摩ノ海戦で両ひざを悪化させ、終盤は病院通いが朝の日課になっていた。
「幸い、それ以上は悪化せずに優勝できましたが、テーピングで固めた両ひざが痛々しかった。綱取りも、ひざの爆弾が爆発したらジ・エンドです」(同・記者)
最大の敵は最も身近なところにある。果たして照ノ富士は、この闘いに勝利できるのか。
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