脚本家の橋田壽賀子さんが亡くなったことで、今後の活動が危ぶまれている俳優がいる。橋田さんの代表作の1つ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)でデビューしたえなりかずきだ。
「えなりは、小さな地蔵のような愛くるしい見た目と、番組の名物となった長台詞が続く芝居にも物怖じしない演技で、長寿番組とともに自身の成長も見せてきた。大人になってからも、TBSと橋田さんに育てていただいたという義理を重んじ、他局のドラマやバラエティーなどには積極的に売り込んでこなかったんです」(他局のスタッフ)
ところが、一時、大々的に報じられた泉ピン子との確執が表面化。『渡鬼』のレギュラー放送が終わり、年に一度の特番に移行してからは、ほとんど出番がなくなった。あわてて売り込みに転じたが、思うように仕事が取れなかったというのだ。
「子役時代から、あまりにも『渡鬼』のイメージが強過ぎて、他局もキャスティングしづらかったという面もあります」(同)
焦ったえなりは、見た目とのギャップを狙い、バラエティーで〝毒舌〟を解禁。〝ブラックえなりかずき〟として一時的に露出を増やしたが、それも裏目に出てしまった。
舌鋒鋭く韓国を批判したまではよかったが…
「2013年に、故やしきたかじんさんが司会を務めていた関西の人気ローカル番組の〝毒舌王決定戦〟という企画に出演したえなりは、『韓国が嫌い』と断言。『韓国政府は政権が不安定になると、反日感情を利用し、すぐに矛先を日本に向けてくる』とした上で、野球のWBCやサッカーの試合にも政治的主張を絡めてくる韓国人の国民性も批判した。この放送直後から、ネット上では《よくぞ言った》などのコメントが殺到する一方、《干されるんじゃないか?》と心配する声も多数書き込まれる事態になったんです」(芸能記者)
結果は、見事に干されてしまった。
「東京の番組では『竹島』すらNGワードだとか、面倒な政治的問題に極力触れないようにする〝事なかれ主義〟が蔓延していて、そのせいで関東と関西に情報格差が生まれてしまっているといった趣旨の発言がアウトでした。韓国嫌いで止めておけばよかったものを、キー局批判ともとれる発言まで踏み込んでしまったのです」(同)
2017年には、秋元康氏の企画でテレビ朝日系のドラマ『サヨナラ、えなりくん』が放送され、今までのイメージを一新するエキセントリックな役柄に挑戦。当時は話題になったが、その後は続かなかった。
「えなりは、橋田さんにTBSで別の作品を書いてもらい、再ブレークしたかったのでは…」(芸能プロ関係者)
その思惑が叶わぬものとなり、芸能界の〝ラスボス〟的存在である泉ピン子にも睨まれていては、彼の未来は推して知るべしだ。
渡る世間は鬼ばかり──この言葉の意味を、いま一番噛みしめているのはえなりかずきかもしれない。
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