およそ7カ月ぶりに両国国技館内の相撲教習所で始まった「合同稽古」。主役は、新大関の正代だった。
両ひざのケガで2場所連続休場中の横綱・白鵬に「おめでとう」と声を掛けられ、仕上げのぶつかり稽古で5分間もかわいがられたのだ。
「久しぶりにいい稽古ができた。いい刺激になる」
砂で真っ黒になりながら、正代は笑みを浮かべていた。
この新ヒーローに激しく対抗心を燃やしているのが、2場所前の覇者で、17場所ぶりに三役に返り咲いたばかりの照ノ富士だ。
「2人は平成3年の、それも同じ11月生まれ。出世スピードが違ったため、これまであまり相まみえることはなかったが、照ノ富士がひざの故障などで序二段まで降下したりと低迷している間に、正代がメキメキと頭角を現してきた。それだけに照ノ富士のライバル心は相当強い」(担当記者)
これを決定づけたのが、照ノ富士が奇跡の復活優勝をやってのけた今年の7月場所14日目だった。
正代に負けた7月場所を照ノ富士は「悔しくて映像を100回見た」
優勝マジックを「1」とし、この一番に勝てば、5年ぶりの優勝が決まるところだった照ノ富士は正代と対戦。得意の左上手を取ったものの、肩透かしで泳がされてバランスを崩し、天井を仰ぎながら土俵を割る痛恨の完敗だった。
「その日、何としても(優勝を)決めたかったので、もう悔しくて、悔しくて。あれからその負けた映像を100回は見ましたよ」(照ノ富士)
しかし、このときの悔しい思いが先場所の雪辱に結び付いた。4日目、今度は3連勝と好スタートを切った正代を突き放して、最後は左からおっつけて押し出し、「先場所のお返しができた」と笑みを浮かべたのだ。
「自分もまた、大関に上がりたい。そのためにはここ3場所が大事。ダラダラしている暇はない」と、大関返り咲きも宣言した照ノ富士は、合同稽古についても、「正代が来るなら行きますよ」と気合い十分だった。
2人の因縁の対決も見ものだが、照ノ富士の大関再昇進が実現すれば、令和になって4人目の大関誕生となる。3年ぶりの〝4大関時代〟実現なるか――。
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