公海の漁業資源を管理する北太平洋漁業委員会(日本、中国、ロシア、カナダなど8カ国が加盟)が、今年のサンマ漁獲枠を前年比40%減の33万トンに抑えることで合意した。しかし、そのことで中国漁船の違法操業が活発化すると予想され、日本海側の漁民がおびえている。
「サンマの漁獲削減には中国も同意しているが、資源管理に積極的に取り組んでいる欧州連合(EU)の加盟が認められたことで、監視体制がこれまで以上に厳しくなる。もともと日本海は中国漁船に狙われやすいのです」(漁業情報センター関係者)
昨年は石川県能登半島沖300キロにある好漁場の〝大和堆〟で、違法操業を続ける中国漁船が一昨年の約4倍の4400隻に急増。スルメイカとズワイガニを乱獲した。
「ここ数年は北朝鮮のイカ釣り漁船の違法操業に、日本の漁民は悩まされてきましたが、昨年はコロナ禍で経済が逼迫したためか、北朝鮮漁船は1隻しか確認されませんでした」(同)
尖閣諸島を「われわれの領海」と主張する中国
中国漁船は北朝鮮漁船と違って、500~1000トン級の大型で根こそぎ持っていく。乱獲されたスルメイカは年間15万トンで、日本の漁獲量の10倍にのぼる。
昨年の11月下旬に来日した中国の王毅外交部長(外相)が、「一部の真相が分かっていない日本漁船が、敏感な海域に入っている事態が生じている」と盗っ人猛々しい発言をしたにもかかわらず、茂木敏充外相はその場で反論しなかった。
すると、今年に入って中国は尖閣諸島を「ここは中国の領海」と主張。武器を搭載した中国海警局船が頻繁に領海侵入を繰り返して、地元の石垣島漁民を脅かしている。
「中国漁船は今後、日本海での違法操業をさらに活発化させるだけでなく、尖閣諸島周辺にも大挙して乗り出すとみられています」(水産庁関係者)
日本政府の中国に対する弱腰外交で、日本海の中国漁船の違法操業は加速するばかり。一刻も早くロシアや韓国と連携し、国際ルールの策定に取り組んでもらいたい。
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