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蝶野正洋『黒の履歴書』~アントニオ猪木“死亡説”と情報流出

蝶野正洋『黒の履歴書』~アントニオ猪木“死亡説”と情報流出
蝶野正洋『黒の履歴書』~アントニオ猪木“死亡説”と情報流出 (C)週刊実話Web

東京オリンピックの開会式で演出を統括するディレクターが、女性芸人に豚の格好をさせて登場させるアイデアを提案していたことが発覚した。オリンピックと豚を意味するピッグを掛け合わせたダジャレなんだが、これが問題となってディレクターが辞任した。

企画内容の是非は置いといて、俺が気になったのは関係者の打ち合わせ内容がSNSで流出したことだ。

どういう経路で漏れたのかは分からないけど、もはやSNSやメールのような通信を介しているものに秘密はない気がするよね。電話だって、録音されて公開されたらそれまでだ。

俺は新日本プロレスの試合で北朝鮮に行ったことがあるんだけど、あの国にいる間、俺たちの行動はすべて監視されていたらしい。スコット・ノートンが私用で電話をかけたんだけど、その内容もぜんぶ盗聴されていたっていうからね。当時は怖いなって思ってたけど、いまの日本もそれぐらいの意識を持ったほうがいいかもしれない。

ただ、プロレス業界は裏で喋っていることがそのまま表に出されるのが日常茶飯事だ。控え室で「ここだけの話」として喋ったことがすぐに業界中に広まるし、次の日のスポーツ新聞の一面になっていたりする。

それは多くのレスラーも分かっているから、広めたい話をわざと「ここだけの話」と言ってくる場合も多いんだよ。

だから俺は、先輩から呼び止められて「ここだけの話だよ」って言われたことは「みんなに広めろ」って意味だと捉えていた。誰に言えば一番話が広まるかといえば、それは武藤敬司だ。武藤さんに話をすれば、10分もすればみんなに話が広まってたからね(笑)。

猪木さんの記事を何通りも用意していたらしい…

俺はそこを逆手に取って、控室ではガセ情報を飛ばすようにもしていた。あえて適当なことを言って、何が本当か分からなくする。そういう意味でプロレス業界における情報戦略は、世間よりも一歩先をいってたかもしれない。

海外でも同じだよ。ハルク・ホーガンがWWFを辞めるときも、噂はすぐに広がった。でも、それはホーガンの戦略で「俺はフリーになる気があるから秘密裏にオファーしてこい」という意味なんだよ。

プロレス業界はそういう体質だから、話が広まるのが異常に早い。それで困ったのが、3月の頭に流れた「(アントニオ)猪木さんが亡くなった」という怪情報だよ。

俺の所にも、ある人から「亡くなった」という話が入ったと思ったら、違う人から「危篤みたいです」という噂が伝わってくる。それに加えて藤波(辰爾)さんが動いてるとか、馳(浩)さんが電話で確認中とか、いろんな情報が一気に錯綜した。

その後、猪木さん本人が動画を公開して健在をアピールしたので問題は解決したが、特に慌てていたのがスポーツ新聞の記者たちだ。

猪木さんが亡くなったら翌日の一面が差し替えになる。だけど、どの情報が本当か分からないから、すぐに差し替えられるように猪木さんの記事を何通りも用意していたらしいんだよ。

今回の死亡説を誰が言い出したのかは分からないが、どんな情報も外に漏れる時代になりつつある。

みんなもプロレス業界を参考にして、情報漏えいには気をつけてほしい。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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