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『冷酷 座間9人殺害事件』著者:小野一光~話題の1冊☆著者インタビュー

『冷酷 座間9人殺害事件』幻冬舎/本体価格1300円(C)週刊実話Web
『冷酷 座間9人殺害事件』幻冬舎/本体価格1300円(C)週刊実話Web

『冷酷 座間9人殺害事件』幻冬舎/本体価格1300円

小野一光(おの・いっこう)
1966年福岡県北九州市生まれ。雑誌編集者、雑誌記者を経てフリーライターに。「戦場から風俗まで」をテーマに、週刊誌や月刊誌を中心に執筆。

――座間9人殺害事件を描いた本書は、小誌での対面記の連載が元になっているのですね。

小野 犯人の白石隆浩は、事件について重要な部分の取材は、それなりの謝礼をもらわないと受けないと公言していました。ならば、この際、謝礼を支払ったことをきちんと明かし、そのうえで彼の話を詳しく聞こうと考えたのです。そうした計画に賛同してくれたのが『週刊実話』でした。その結果、先方から面会を打ち切られるまで、計11回、330分にわたって話を聞くことができました。

――立川拘置所での面会はすんなりできたのですか?

小野 まずは取材申し込みの手紙を出し、そこに謝礼を支払うつもりがあることも明記しました。そうしたら、彼と面会している記者を通じて、会ってもいいとの連絡が来たのです。事前にまず電報で、面会に行く日を伝えてほしいとのことだったので、そのようにして出向いたところ、あっさり本人が現れました。

――凶悪犯ですが、どのような印象を抱きましたか?

小野 目の前に現れたのは、どこにでもいそうな〝普通のお兄ちゃん〟という感じの人物でした。物腰もやわらかく、きちんと敬語も使えます。殺人犯との面会は彼で10人目だったのですが、そのなかでも、〝凶悪事件の犯人らしくない〟という点では、突出していました。逆に、興味を引かれたともいえます。このごく普通に見える男のなかに、どのような殺意が潜んでいるのか、それを引き出したいと思ったのです。

現実にそんなひどいことが起きたのかと落胆…

――白石はきちんと話をしてくれたんですか?

小野 どんな質問にも答えてくれたので、こちらが驚かされました。話を聞いた当時、どこにも出ていない情報が次々と出てきたのです。逮捕時の具体的な様子から、殺害、解体の方法、あと、彼の部屋を訪れていたのに、殺されなかった女性が3人いることも明かしています。その女性のうち2人は、彼がクーラーボックスに隠していた遺体を見ているとの話も出て、息をのみました。

――なぜ白石はそんな話までしたのだと思いますか?

小野 最大の理由は、彼自身がその後の裁判で、争うつもりがなかったからだと思います。いくらあがいても無理だと諦めていました。だから、うそをつかずにすべてを話したのでしょう。拙著では裁判の内容についても詳しく紹介しているのですが、ほぼ、彼が面会時に話していた通りでした。ただ、それは取材者としてうれしい反面、現実にそんなひどいことが起きたのかと落胆もしました。だからこそ、新たな被害を防ぐ意味で本書を執筆しました。

(聞き手/程原ケン)