注射による薬剤投与や採血、神経ブロック、関節内注射などは、とても重要な治療と診断方法です。しかし、副作用も多少あります。
注射針は直径0.3ミリほどから1.6ミリほどまで様々な太さがあります。肉眼で見れば細い針でも、針先は皮膚を突き破るために鋭利な刃物のようになっています。注射をすれば、この鋭利な針先が皮膚、皮下組織、筋肉、あるいは血管を貫くことになります。つまり、それぞれの組織が少なからず傷みます。注射針がいくら細くても、針で貫けば、たまたま神経に当たったり、血管を貫いたりする可能性があります。
どんなに気をつけていても…
医師や看護師は、注射をしてはいけない部位をしっかりと把握した上で注射を行っています。だが、皮膚の下の細い神経や静脈がどこを走っているのかまでは分かりません。また、人間の体には個体差があり、重要な太い神経や動脈が浅い部分を通っている場合があります。
そのため、どんなに気をつけていても、注射で神経線維や血管を貫くことがあります。注射後に痛みやしびれが生じたり、内出血を起こしたりするのは、このせいなのです。
静脈の注射後に内出血するのは抑え方の問題があり、次号にて述べさせていただきます。ほとんどはピリッとした痛みやしびれ、多少の内出血ですみますが、まれに神経痛が残る、相当量の出血を起こすといった場合があります。注射をした後に異常を感じたら、医師や看護師に相談しましょう。
監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPは下記。
https://ijiri.jp
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