日本酒の酒造メーカーが、米国の食品市場で中心的な役割を担っている「コーシャ認証」(KJマーク付き商品)を次々に取得。海外輸出量が伸びている。
「コーシャ認証とは、ユダヤ教の食事規定に従った加工食品に与えられる宗教上の認可のことです。コーシャ認証食品は世界市場で1646億ドル、日本円にして17兆円。年平均13%の成長率で拡大の一途を辿っています」(食品アナリスト)
コーシャ認証の対象には、イスラム教徒の「ハラールフード」のように、ユダヤ教徒が食べてもよいとされる〝清浄な食品〟で、敬虔なユダヤ教徒は3000年前からその規律を厳格に守って生活をしている。米国では、第二次世界大戦前後のスーパーマーケットなどの市場拡大に伴い、コーシャ認証制度が始まった。
日本初のコーシャ認定機関『コーシャジャパン』によると、販売される商品数が膨大になるにつれ、商品の生産過程や含有物が複雑化。企業が利益を上げるために粗悪な商品の流通が急増したことで、ユダヤ教徒が清浄な食品を安心して手に入れるためのコーシャ認定の需要が高まったという。
コーシャ日本酒は酒造メーカーの救世主
1935年にハインツ、2年後にコカ・コーラが先駆けてコーシャ認定を受け、現在ではウォルマートやコストコなど全米の大手スーパーチェーンの約41%の商品がコーシャ認定を受けていると言われている。日本でも、味の素やキッコーマンなど大手企業がコーシャ認証を続々と取得しており、中でも日本酒の酒造メーカーは積極的だ。
「日本酒の場合、酒蔵だけではなく米、麹、乳酸、酵母のすべてのコーシャ認証を取得しなければ、最終製品の認定はもらえない。日本の酒造メーカーが認定を受けるには、かなり厳しい基準をクリアしなければならない」(酒類販売会社員)
日本酒メーカーでは獺祭の旭酒造、南部美人、宝酒造、八海醸造などがコーシャ認証を取得している。
「認証取得後、『コーシャ日本酒』と宣伝したところ、米国からの注文が急増した。コーシャ日本酒は酒造メーカーの救世主ですよ」(同)
海外日本酒ブーム再来か。
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