先週の阪神大賞典は断然1番人気アリストテレスがまさかの凡走に絶句した。競馬に絶対はない、なんて50年近くやってりゃ染み付いているはずなのに、三千も道悪もドンと来いでルメール騎乗とあらば〝鉄板〟と思った浅はかさ。馬連、3連複で相手6点という保守的で爺臭い(そりゃ爺だけどさ)予想の自分も恥じた。
どうも昨年の暮れのチャンピオンCのクリソベリル4着以来、断然人気馬の受難がしばしば勃発する。単勝2倍を越えない馬では東海Sの2.0倍インティ12着、弥生賞1.3倍ダノンザキッド3着、金鯱賞1.4倍デアリングタクト2着、そして先週の1.3倍アリストテレス7着といった具合。2倍台の凡走馬はやたらいるしね。先週も書いたが「競馬には〝まさか〟という坂があちこちにある」と肝に銘じ、今後も慎重に見極めないとね。
というわけで、今週の高松宮記念。1番人気はダノンスマッシュか。もちろん消せないが、この高松宮記念は過去2回出て馬券の対象になっていない。中京が実は苦手、という説もある。過去10年、1番人気馬は8回も連を外していることだし。騎手が川田というのも微妙…。何せ、前出のクリソ、ダノンの鞍上でもある。実は、好きな騎手でもあるし、ここで彼の名誉のために申し添えれば、2月の京都記念できっちり勝った断然人気1.8倍ラヴズオンリーユーは川田騎乗であった。
2、3番人気はインディチャンプか、レシステンシアか。どちらもGⅠ馬だが、どちらもスプリント未経験。ここは攻めの予想で穴を狙ってシヴァージ本命…と〝予定稿〟には書いていたのだが、外傷で無念の回避。一から洗い直したが、軸がなかなか決まらない。本来なら〝牝馬の鉄〟としてはレシステンシアだが、主戦の北村友が海外遠征のため鞍上は武豊の予定が、骨折のため、浜中に変更。このところやや不振な浜中クンがどうこうではなく、何かアヤがついたみたいで本命にはしづらい。そういえば、ルメールの騎乗馬のないGⅠも珍しい。いつ以来だろうか。調べる時間がないなあ。ちなみにルメールは東のGⅢマーチSでアメリカンシードに騎乗する。
シヴァージの“代打”穴馬として選んだのが…
映画馬券でいえば、出走馬の中で題名ズバリはいなし、こじつけも難しい。こちらも当初、外国産馬シヴァージの父ファーストサムライにちなんで、トム・クルーズ主演の『ラストサムライ』(03年)を〝予定稿〟に挙げていたのだが、ボツ。というわけで、映画馬券は今週は開店休業ですな。ご容赦を。
結論は、シヴァージの〝代打〟穴馬として選んだのが③ライトオンキュー。勝つまではともかく、馬券の軸ということで。シルクロードSでそのシヴァージの2着だし、〝代打〟としては十分だろう。スプリント適性、中京適性もありそうだ。あとは、乗り慣れた古川吉から横山典への手替わりがどうかだが、ベテランの一撃に期待したい。ここから馬連で相手6頭、⑯レシステンシア、⑨インディチャンプ、⑭ダノンスマッシュ、⑱ミッキーブリランテ、⑩ラウダシオンへ。最後にご贔屓松山の⑰サウンドキアラを、さすがに厳しいか、と思いつつ潜り込ませた。付きそうだからレシステンシアからミッキー、ラウダ、キアラへも。馬連は以上9点。3連複はライトオンキューから前記各馬へ。
緊急事態宣言が首都圏でも解除され、晴れて現金で競馬が買えて、久々にマークシートも塗りつぶせることだし、期するもの、燃えるものはある! 競馬環境も〝たたかれ良化〟となりますように。とはいえ、ここは過剰にイレ込まず、春のGⅠ戦線の初っ端だけに、まずは〝通常投資〟で始めたい。
秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。
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