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JRA重賞『阪神大賞典』(GⅡ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

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先週の金鯱賞は、断然1番人気デアリングタクトがまさかの2着。その前の週もダノンザキッドがまさかの3着…。競馬には〝まさか〟という坂があちこちにあるようだ。おまけに両レースとも逃げ馬にしてやられるとは! てっきり金鯱賞で逃げるのはキセキと思っていたのが大間違いだった。不幸中の幸いで少額投資だったゆえに、傷は浅いぞ、しっかりしよう。

というわけで、今週の日曜日の重賞は西の阪神大賞典、東のスプリングS。同じくGⅡで同格だし、迷うところ。本当は中京のファルコンSに注目したいのだが、あいにく土曜日だ。このレースには暮れの朝日杯GⅠを勝ったグレナディアガーズが出陣してくる。このレース、朝日杯出走馬は過去何頭か出ているが、優勝馬の参戦は珍しい。普通はスプリングSなどに駒を進めるからだ。よってこちらも断然の1番人気か? 前記のとおり、最近〝まさか〟が続いているからなあ。ボクはグレナディアガーズに多少疑いの眼差し。いっそモントライゼ、ルークズネストあたりが突っ込まないかと…と言いつつ、狙いは阪神大賞典へ。寄り道してすみません。

土曜のファルコンSでは前出のモントライゼに乗るルメールが、日曜には阪神に転戦して、おそらく1番人気のアリストテレスに騎乗する。昨年の菊花賞で無敗3冠牡馬コントレイルに首差まで迫り、年明けのAJC杯も快勝した実力の持ち主。菊と同じ3千でこのメンツなら、と思うのは当然。ボクもここはさすがに逆らえない。

映画馬券でいえばズバリの“ゴースト”に注目!

映画馬券でいえば、出走馬の中で題名ズバリなら、ゴーストからラブ・ファンタジー『ゴースト ニューヨークの幻』(90年)が日本でもヒットしたので最も有名か。デミ・ムーアがロクロを回すと、後ろから恋人のパトリック・スウェイジが迫って…という〝からみ〟が話題になったものだ。男性には『ゴースト 血のシャワー』(80年)のほうがお勧めかも知れない。北大西洋を彷徨する旧ナチス・ドイツの拷問船を舞台にした、いわば〝幽霊船もの〟のホラー映画で、ヒロインが副題に偽りなく、ホントに〝血のシャワー〟を浴びるところがハイライトで、ボクはこっちの『ゴースト』も好きである。とはいえ、馬に〝幽霊〟と名付けるのはセンスが良いやら悪いやらではあるなあ。呪われなければ良いが(笑い)。

あとはナムラドノヴァンから『ドノバン珊瑚礁』(62年)を連想できるのはオールド・ファンか。監督ジョン・フォード、主演ジョン・ウェインで、南太平洋の孤島を舞台に、荒くれ男たちと元気印のヒロインの騒動を豪快に描いた南海人情コメディーで、フォード映画名物の〝殴り合い〟が随所に炸裂するあたりが見どころだ。ダンスディライトから『ディライト』(96年)もある。シルベスター・スタローンが主演した海底トンネル事故パニック映画で、元緊急医療班のスタローンが、超人的にではなく苦闘する姿が新鮮だった。

結論は、当然迷いなく⑨アリストテレスが大本命。「人間は社会的動物である」と言ったのが同名の大哲学者だったか。コロナ禍において〝社会活動〟が極端に減っている現状下、〝社会的動物〟の1人として、憂いなく競馬場通いができるように早くなってほしい。

相手は前出の⑬ゴースト、⑤ナムラドノヴァン、⑫ダンスディライトに加え、⑧ショウリュウイクゾ、⑥ディープボンド、⑩ユーキャンスマイルへ馬連、三連複。今週も少額投資で慎重にならざるを得ない。何せ、来週からのGⅠ戦線に備え、軍資金を温存しておきたいしね。

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

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